次に住まいや車、衣服といった親リッチたちの消費動向を見てみよう。

 まず人生最大の買い物といわれる住宅については、冒頭で横山さんが語った通り、親からの有り余る援助を受けて、収入に見合わない高級住宅に住むケースが多い。

「あるパチンコ店のオーナー社長は、慶應幼稚舎に入れた息子が慶應義塾大学に入学したとき、お祝いにキャンパスの最寄り駅近くのマンションを買ってあげていた」(40代、税理士)というような例は決してまれではない。

 親リッチが「マンションを買ってもらったときが好機」と話すのは、ある大手百貨店のベテラン外商員。というのも、マンションと一緒に家具などの購入が付いて回るためだ。

「家具は、国産ならばカリモク家具のドマーニ、イタリア製のカッシーナやポルトローナ・フラウなどブランドにこだわっていますね。親に言われてペルシャじゅうたんを敷いたり、電化製品もドイツ製を買ったりしています。合計金額が1000万円を超えることはザラです」(同)

「冷蔵庫やテレビ、ノートパソコンといった家電は祖父が買ってくれました。でも、買うのはいつも、祖父が昔から付き合っている『街の電気屋さん』です。せめて大手家電量販店で買った方が安いのに……と思いますが、お金を出してくれるから特に何も言いません」

 関東で地方公務員として働く親リッチの斎藤隆彦さん(30代、仮名)は、家具や家電は親の財布で買った。斎藤さんは、都内で代々続く地主の家系の生まれだ。祖父と父親の名義で一戸建てを10軒ほど所有しており、斎藤さんも今、祖父が建てた新築の一戸建てで生活している。

 資産の多くが土地や建物だからこそ、斎藤さんは目下、固定資産税や将来起こり得る相続が悩みの種だという。節税をどうするかは、父親が顧問税理士と話をしている。今はまだ自分が一緒に話を聞くことはないが、いずれ来る相続のタイミングがどうなるか、不安を抱いている。

 ただ、斎藤さんは「小さい頃からお金の面で苦労や我慢をしたことはない」といい、多くの人が抱える日々の悩みとは無縁のようだ。

 斎藤さんの年収は700万円ほどだが、「今でも10万円を超える買い物はほとんど自分でしたことはなく、祖父に買ってもらっている」とのことで、特に大きな買い物が、「新車のベンツCクラスを親に現金一括で買ってもらった」ことだそうである。

 乗り手のステータスを示す車については、親リッチの間で意見が分かれている。若者の車離れという事情に加えて、高級車に乗って「目立つのが嫌だ」(前出の税理士)といった理由で親にねだらないことも多々あるという。

 家具という他人から見えにくい消費にお金をかけるならともかく、体裁が良く見え過ぎる買い物には慎重なようだ。

 家や車以外の消費について見ていくと、服装に関しては、「ルイ・ヴィトンやグッチといったロゴの主張が強いブランドは(IPO長者など)成り上がり系の人の方が好む」(30代、親リッチ男性)そうで、親リッチは意外と地味な人が多いという。

 そういう親リッチに限って一点豪華主義になるようで、「革靴だったらリーガルではなくジョンロブ、時計だったらフランクミュラーではなくパテック フィリップ」(前出の外商員)を選ぶという具合だ。

 こうした消費の大半は、親からの援助があって成り立つものだ。中には、「親からプラチナランクの家族カードをもらい、衣服の購入や飲み会代などに自由に使っていいと言われていた。なので、学生時代にアルバイトをしたことがない」(20代、親リッチ男性)ケースもある。