富裕層のカネと節税#15Photo:Diamond

資産が数千億円にも上る「超富裕層」は、お金に対しどのような哲学を持ち、またどのような生活をしているのか。特集「富裕層のカネ・節税」の最終回では、ホテル、マンション事業で業容を拡大させているアパグループの元谷外志雄代表と、アパホテルの元谷芙美子社長の2人に聞いた。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

──ZOZOの前社長など、会社を上場させた後にアーリーリタイアする「IPO長者」たちが世間をにぎわせていますが、どう見ていますか。

芙美子氏 40代くらいからフリーになって、世界中をクルーズしたりゴルフをしたり、楽しむような生活に憧れていらっしゃるんでしょうかね。私たちのように死ぬまで自分の会社に責任と誇りを持ち、一兵卒でゼロからがんばってきてそのまま駆け抜けるというのは、今は珍しいのかもしれませんね。

 私たちは実需を積み上げて、雇用を守り、納税の義務を果たすという三つをサステイナブルにきちっと重ねてきました。会社は上場していませんし、上場益で一生楽に暮らしたいという考えはありません。

 創業者自ら朝から晩まで現場に立っています。私たちはその過程をすごく楽しんでいるんです。新興の方々は結果を楽しんでいるという気がします。

──膨大な資産を築いたことで、お金に対する価値観は昔と比べて変わりましたか。

外志雄氏 (資産が)一線を越えると使い切れないじゃないですか。増えるばかりですし、使えないならないのと一緒ですね。私は健康が一番大事。健康で闊達に長生きできることが人生の勝者ですよ。お金をたくさん持っただけでは、勝者ではないですね。

芙美子氏 18歳のときからもう50年以上働いているので、洋服は2000着ぐらいあります。月に4~5着は買っていましたから。私は1日5食なのですが、洋服のサイズが昔から変わっていないんです。

──生きたお金の使い方とは、どういうものだと考えていますか。