低金利環境で構造不況に陥ったメガバンクは今、資産承継に悩む企業オーナーの急増を追い風に、富裕層ビジネスに注力している。競合は主幹事社という立場から企業オーナーと太いパイプを持つ野村證券、そして古豪の外資系プライベートバンクだ。特集「富裕層のカネ・節税」の#10では、幕が開いた富裕層を巡る三つ巴の争奪戦をレポートする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
三菱UFJが特別チームを組成
超富裕層の獲得にメガバンクが動く
2018年7月、三菱UFJ銀行に「トップガンチーム」と称する専門部隊が立ち上がった。
グループ内で富裕層向けのビジネスに従事していた社員たちを集め、総額20億円以上の資産を持つ「超富裕層」に限定して営業を行う、ウェルスマネジメント営業部だ。この専門部隊のメンバーは「シニアウェルスアドバイザー」と呼ばれ、20年度中に100人を超えることを目指すという。
ウェルスマネジメントとは、富裕層向けの資産管理サービスのこと。外資系金融機関を中心に展開しているプライベートバンク業務と比べると、ウェルスマネジメント業務は相続や事業承継、税金対策など、より幅広いサービスを富裕層に提供している。