ユーザーの時間や所得を奪い合っているものはなんなのか

村上:今まさに闘っている相手だけでなく、潜在競合に対する意識の問題ですね。

朝倉:UberとLyftのような直接的で明示的な競合関係だと分かりやすいですが、競合というのは本来、もっと広い概念として捉えるべきということですね。

僕がミクシィにいた時も、どこまでを競合として捉えるかを非常に意識していました。他のSNSはもちろんですが、人の可処分時間を奪い合っているわけだから、ゲームなども含めて時間を奪い合うものは全て競合なのでは? と。目の前の相手だけではなく、競争環境を広い視野で捉えるのはなかなか難しいですが。

小林:広い意味での競合という話で、ミスタードーナツが女子高生の溜まり場になっていた時に、「競合は携帯電話だ」と定義していたという話しを聞いたことがあります。女子高生が、特に用事はないけれどなんとなくコミュニケーションするみたいなニーズを満たしていたリアルな場がネットに置き換えられていった、という典型的な話でしょう。

外部の人からすると、根源的に何と何が、時間や可処分所得などの資源を奪い合っているのかというのは、実は一番知りたいことですよね。そういったことを認識しているかどうかで、サービス設計にも大きな差が出てくる気がします。

村上:サービス設計の議論だけではなく、もし人材がボトルネックになっていた場合には、採用において競合する企業も潜在競合になるかもしれませんよね。

朝倉:自分たちが競争している市場は、商品市場だけではなく、人材市場など、様々な市場があるという話ですね。