医師11人が教える「腰痛・膝痛・肩痛」治療法#9Illustration by Masahiro Takase

肩の痛みの中でも「ひどい五十肩」などと間違えやすい肩腱板断裂。末期症状になると腕に力が入らなくなり、ほとんど上げることができなくなってしまう。この全く上がらなくなった手を上がるように回復させる手術として注目されているのが「リバース型人工肩関節置換術」。海外では古くから行われてきた術式だが、日本では2014年にようやく実施されるようになった。特集『医師11人が教える「腰痛・膝痛・肩痛」治療法』(全9回)の最終回では「リバース型人工肩関節置換術」の第一人者にその効果を聞く。

「週刊ダイヤモンド」2019年11月16日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

痛みで動かせなくなった
肩が動くようになる「最後の手段」

 高齢者に多い「肩腱板断裂」。末期症状になると、痛みだけでなく、腕に力が入らなくなり、ほとんど上げることができなくなる。従来の治療では、痛みは緩和できても機能を回復することはできなかった。

「この末期の肩腱板断裂をサルベージ、つまり救済する治療法として登場したのが、リバース型人工肩関節置換術です」と話すのは、福井総合病院スポーツ整形外科の山門浩太郎部長だ。リバース型人工肩関節置換術の第一人者として国内屈指の手術件数を持つ医師の一人である。