リニア中央新幹線建設工事を巡る談合事件で無罪を主張する鹿島と大成建設を中心に、ゼネコン4社はリニア工事入札の過程を裁判で暴露した。それは、発注者であるJR東海が入札参加者に対し、値下げに次ぐ値下げを要求するものだった。特集『リニア談合 暴露裁判』(全5回)の#3では、値下げを徹底的に追求するJR東海の発注のやり口に迫った。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
ゼネコンの感情を逆なでした
JR東海のしつこい「値切り」
大手ゼネコン4社が罪に問われたリニア中央新幹線建設工事の談合事件で、無罪を主張する鹿島と大成建設の独占禁止法違反を問う裁判が2019年2月から始まった。
リニア工事は、東海旅客鉄道(JR東海)が工区ごとに複数のゼネコンへ入札に参加するよう指名し、競争入札が行われた。このうち品川駅と名古屋駅の入札において、ゼネコン4社が互いに希望する工区を事前調整していたとして談合行為を問われた。
JR東海は談合で損をした「被害者」である。しかし、法廷で鹿島や大成建設らゼネコン側は自分たちこそ「被害者」であるような主張を展開した。品川~名古屋間の総工費が5兆5000億円に上る巨大工事の発注者であるJR東海を、これまで「神様」扱いしてひれ伏してきたのに、不満を爆発させて「ケチっぷり」を暴露。リニア工事の入札で得をしたのは自分たちではなくJR東海であるとばかりに食ってかかった。