リニア中央新幹線建設工事を巡る「談合」事件は、大手ゼネコン4社が関わった品川駅と名古屋駅の工事に注目が集まった。しかし、裁判ではそれ以外の工事にも話題が及び、前田建設工業、安藤ハザマ、熊谷組など他のゼネコンについて続々と証言が飛び出した。特集『リニア談合 暴露裁判』(全5回)の最終回では、さまざまな工事に通じる談合を招いた問題点を炙り出した。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
法廷では大手4社だけでなく
準大手や中堅ゼネコンの名も
リニア中央新幹線建設工事の談合事件では、品川駅の南工区と北工区、および名古屋駅の中央工区に注目が集まり、大林組、鹿島、清水建設、大成建設の大手ゼネコン4社が独占禁止法違反に問われた。大林組と清水建設は罪を認めて有罪が確定したのに対し、鹿島と大成建設は無罪を主張し、裁判で争っている。
2019年2月から20年2月までの33回にわたる公判では、品川駅と名古屋駅のみならず、さまざまな工区について話題が及んだ。そこでは大手4社だけなく、準大手や中堅ゼネコンの名も飛び出した。
ここから浮かび上がったのは、他の工区でも入札前に過剰な情報のやりとりがあり、また被害者である東海旅客鉄道(JR東海)にも談合を招くような振る舞いがあったことだ。自己弁護に走るゼネコンの証言全てをうのみにはできないが、他の工区は全く問題がなかったと片付けるには、彼らの証言はあまりに具体的だった。