「飛び恥」でドイツの鉄道利用が倍増、日本企業に好機到来の理由
ミュンヘン中央駅の風景。朝イチの出張で利用し構内で食べるものを探しても、メニューはお決まりのものが多い (写真は筆者提供、以下同)

高速道路・車社会のドイツにおいて、今「鉄道移動」が流行している。2030年までに、運行回数と乗客数は、さらに2倍になると予測されている。一方で、ドイツの列車は遅延に次ぐ遅延が起きており、駅ナカも実に簡素だ。日本の列車や駅のような、利用客がわくわくするサービスや仕掛けを期待したいところだ。ドイツの鉄道事情は今、どうなっているのだろうか。筆者はドイツ在住の経営者で、大の日本好きだ。日本とドイツをこれまで40回以上往復している。こうした立場から、日本の優れた鉄道のノウハウや技術が、欧州に受け入れられる可能性がとても高い理由を考察してみた。(独ストーリーメーカー社 共同代表 ビョルン・アイヒシュテット)

環境意識の高まりから
ドイツの鉄道利用は増加の一途

 ドイツ鉄道は自社だけで5700カ所の駅を運営している。ドイツ鉄道が乗客数26億人を記録したことからも、これらが賑わっていることがわかる。15年前と比較して、ほぼ10億人増加しており、増加のトレンドは続いている。環境問題の議論の高まりを受けて、飛行機や車での移動ではなく、より環境にやさしい鉄道へと移動手段がシフトしているためだ。

 直近での「鉄道移動」ブームは、気候変動対策を強く訴える「フライデー・フォー・フューチャー」運動の中心人物であるスウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんに大きく影響されている。「温室効果ガスを多く排出する飛行機を使わず、鉄道を使おう」というグレタさんのポリシーに共感する若者が欧州で増え、飛行機で移動することは「飛び恥」と呼ばれるようになった。

 そうした中、フランクフルトやミュンヘン、ハンブルグなどの駅や鉄道は、今や毎日約50万人もの人々に利用されている。しかし、乗客にとってそこは必ずしも快適な場所とはいえないのが現実だ。

 問題は、清潔感の欠如や運航の正確さ、信頼性にある。ドイツ鉄道が発表している統計によると、74.9%の鉄道しか時間通りに運行していなかったという結果が出ている。ドイツでは「5分間程度の遅延は許容範囲」と認識されているため、その範囲内だと「時間通り」と見なされるにもかかわらずだ。