会計&ファイナンス_ファイナンス#1
Illustration by Hitoha Sumi,Yuuki Nara

決算書の読解術はビジネスパーソンに必須だ。そして、さらに出世をしたいのなら、式の丸暗記まではしなくてもいいが、ファイナンスの概念はざっくり理解しておくべきなのだ。動物的な勘ともいえる独特なセンスで買収を成功させる経営者もいる。しかし、「ファイナンス」のスキルを使えば勘やセンスに頼らなくても買収や事業継続は判断できる。特集『会計&ファイナンス』のファイナンス#1では、これだけは覚えてほしい「現在価値」と「資本コスト」について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年2月29日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

その投資や買収は適切なのか?
把握可能な優れたツール

 本特集の物語・第1話『決算書を理解せよ!新米の女性経済記者が命じられた初仕事【物語で分かる会計1】』の中で、決算書は「健康診断の結果」だと伝えた。つまり、決算書が示しているのはこれまでの蓄積であって、過去を表している。

 一方で、ここで学ぶファイナンスはその健康診断の結果を基に「理想的な体をつくる方法を考えるツール」だと思ってほしい。つまり、未来思考なのだ。

 具体的には、ある新しい事業を進めるべきかどうか。あるいは、不振の既存事業をやめるべきかどうか。他の企業全体や、一部の事業を買収するのに適切な価格は幾らなのか。ファイナンスはそういうビジネスで直面する判断の際、役立つ物差しとして機能する優れものだ。

 全ての企業は企業価値を向上させるために活動している。そして、企業は突き詰めると「おカネを調達し、投資して、もうけを得る」という行為をしているにすぎない。つまり、企業価値の向上とは、もうけを最大化させるということになる。