総選挙勝利へバラマキ、妨害
なんでもあり

 文政権は、総選挙に勝つために、なんでもやる覚悟なのだろう。

 韓国政府は、企画財政部が中位所得までの1000万世帯に緊急災難支援金を給付する方針であったが、青瓦台の意向によって、対象を全体の70%に及ぶ1400万世帯に拡張した。

 これは年間所得8500万ウォン(約750万円)に相当する人々まで対象とするものであり、4人世帯基準で支給額は100万ウォン(約8.9万円)となる。

 この支援金は総選挙後に補正予算を編成して支給するようだ。選挙前の発表であり、政府与党がここまで対象を広げたことについて、野党が言うように「選挙用のバラマキ」以外の何物でもないだろう。

 さらに、野党の選挙運動の妨害疑惑まで浮上している。

 文政権派であり、新北朝鮮団体である大学生進歩連合(大進連)は最大野党・未来韓国党の候補者らの選挙運動を組織的に妨害しているという。

 彼らは未来統合党の候補者の遊説現場で、「親日候補」「積弊剔抉(てっけつ)」「新天地とどういう関係か」といった根拠のない誹謗プラカードを持って候補者を取り囲み、大声を上げた。未来統合党の呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長、羅卿源(ナ・ギョンウォン)前院内代表、黄教安(ファン・ギョアン)代表らは妨害で通常の選挙運動ができない状況となっている。

 選挙管理委員会はこうした妨害行為は違法としているが、警察は傍観している。野党候補が選挙妨害行為をやめるよう数十回にわたり要請したにもかかわらず、その場にいた十数人の警察官は全く動かなかったという。

 警察はつい先日も、地下鉄の駅で大統領を批判する内容のビラを配った女性が身分証提示の要求に応じなかったとして、この女性を床に倒して手錠をかけたという騒動もあった。選挙前のこうした与党を利するような行動は、警察が政権と一体となっていると疑われてもやむを得ないであろう。

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 文政権はさらに保守系メディアの批判封じに躍起となっている。文在寅政権は政府の三権を牛耳っており、政府批判を抑え込んでいる。

 唯一批判を繰り返しているのが、朝鮮日報系のメディアである。だがそこにも文政権による封じ込めの圧力がかかっている。その代表例が最大野党・未来統合党が「批判メディアに轡(くつわ)をかませる意図がある」として批判している、放送通信委員会がTV朝鮮とチャンネルAの再承認を総選挙後の4月20日に保留したことだ。

 文政権は総選挙まで、政権批判を徹底的に抑え込むつもりなのだ。文政権は新型コロナ禍に乗じて、総選挙を乗り切り、独裁化の道をひたすら邁進しようとしている。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)