新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本でも緊急事態が宣言される。外出自粛の要請や、学校や劇場、ホテルといった公的・商業施設の活動も制限できるようになり、感染抑止力は格段に増す。一方でこの緊急事態により、経済は大きな困難に直面する。パンデミック(世界的大流行)による経済パニックはどのように拡大し、どう終息しうるのか?緊急連載『世界経済ロックダウン』の#5では、日本より一足早くパニックに突入した海外の状況から「危機のシナリオ」を読み解く。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
コロナ経済危機の構造は
各国で共通している
新型コロナウイルスによる経済危機はどのように発展していくのか。これは国を問わず、基本的に同じパターンをたどる。
始まりは当然ながら、感染拡大だ。新型コロナは感染力が強い上、症状が重症化すれば命を落とす可能性が高いことが判明している。感染拡大期に突入すると、感染者・犠牲者共に指数関数的に急増する。政府としてこの局面は人道的に看過できないし、社会もパニックに陥る。
このため各国の多くの政府は、感染防止策に最も有効な人と人との接触を断つ施策を講じる。人の移動と経済活動を制限する内容で、海外では都市封鎖(ロックダウン)と総称される。具体的な制限範囲は国や都市によってまちまちだ。日本政府は「ロックダウンではない」とするが、基本的には今この段階に差し掛かっている。そしてここから経済的打撃が本格化する。