国内のコロナ禍の早期解消で
世界1位が見えてくる?

 しかし、何よりカギになるのが国内の動向だ。アパレル関係者は「国内で新型コロナの影響がはっきりと表れるのは4月以降。2月から3月前半にかけては、新型コロナの話題は出ていたとはいえ外出している人は多かった。4月は業界全体で相当厳しい数字になる」と懸念する。

 国内ユニクロは3月に約260店舗で時短営業し、週末には首都圏の63店舗を臨時休業した。そして4月7日の緊急事態宣言を受け、時短営業に加え、銀座・渋谷・池袋・梅田・心斎橋などの繁華街の店舗と大型商業施設の店舗を臨時休業したこともあり、4月以降のインパクトは計り知れない。

 ユニクロは普段着であり、外出自粛期もルームウェアとして一定の販売額が見込めるため、百貨店ブランドほどの落ち込みはないだろう。

 春先からGWまでの期間は、アパレル業界にとって重要な書き入れ時だ。新生活に向けた春物・夏物衣料への買い替え需要が大きく、セールをかけなくとも定価で売れる時期だからだ。阪南大学の大村邦年教授は「6月から徐々に正常化したとしても、春夏ものはセールで利益にならないし、この半年は消費マインドも落ち込むだろう。(収益予想にある収益予測の達成は、)現実的には厳しい」と話す。

 6月に客足が戻っても、春物は在庫になる可能性が高く、定番以外は即セールになるだろう。おまけに6月に客足が回復する保証もない。生産調整がどこまで機能するかが、今後の在庫状況の悪化を左右するポイントになりそうだ。

 ただ減収減益とはいえ、ファストリは強気の姿勢を崩さない。

 柳井氏は「これは戦後最大の人類の危機である」と語る一方で、「世界各国への出店を積極的に行う」と言い切った。これが、ファストリの新型コロナへの向き合い方をはっきりと表している。

 ライバルであるスペイン・インディテックスや、スウェーデン・H&Mの主戦場は欧米で、今まさに新型コロナが猛威を振るい、非常に苦しい状態にある。日本市場が想定通りに落ち着き、財務の大幅な毀損を免れれば、回復の兆しをみせている中国市場のおかげで、ライバルより一足早く立ち直れるはずだ。ファストリにとっては、むしろ最大のチャンスなのである。

 そうなると、国内市場が想定以上に落ち込むことだけは何としても避けたい事態だ。ユニクロの命運は「非常事態宣言」の成否にかかっているのである。