コロナ危機で見えた
「プラン」変更の課題
危機に際しては、機能しない方法に固執することは即致命傷になり得ます。
感染防止対策の専門家である岩田健太郎氏は、4月初旬の段階で、感染経路がわからない人がこれだけ増えて市中感染が増えていると考えられる状況を踏まえれば、クラスター対策では追いつかず、検査数を増やして、優先順位をつけながらも疑いのある人は検査できるようにしたほうが良いと述べています(ただし、これは誰でも彼でも不安のある人をすべて検査すべきということではありません)。
その後、少しずつ検査数は増えているようですが、いまだに検査体制は整わず十分な検査は行われていません。岩田氏が指摘するように、日本の組織は「プランA」が機能しなくなったときの、「プランB」への移行が極めて苦手であり、次の戦略的フェーズへの移行は進んでいないのです。
これは組織行動の観点で見ると、日本の組織が「前例踏襲主義」に陥りがちなこととも関係していると考えられます。
もともと、真面目な国民性ゆえに方法が自己目的化(その方法を実行すること自体が目的にすり替わってしまうこと)しやすいこと、各省庁や暗黙裏に無謬主義(間違いをなかったことにするマネジメント)に立脚していること、そして責任回避バイアスが強いことなどがその傾向を強めていると思われます。