どこを直し、どこを伸ばせば、どのような人間になるのか。一人一人、部下の個性を見ながら戦略立てて育てることです。

 部下がわかっていること、わかっていないことを知り、その上で注意すべきは注意する。それが正しい叱り方だと思うのです。

 叱ることに限らず、感情的になって得することはまずありません。万が一相手の人間性を否定しようものなら、関係の修復にどれだけの時間がかかるかわかりません。

感情に呑まれそうになったら
冷静になって一歩引く

 とはいえ、人間というのは感情や欲によって突き動かされる生き物ですから、人が感情的になっていると自分も巻き込まれそうになることもあります。

 そんな時、私の場合は「一歩引いてみる」というのを実践しています。

 たとえば三越時代、クレーム対応をすることがマネージャーの役割でしたから、いろいろなお客様の対応をしていました。

 怒れば怒るほど、「そもそもの原因」を当のお客様でさえ忘れてしまうということがよくあるのですが、そういう時ほど対応する側には冷静さが必要になります。

「これだけ怒っていらっしゃるということは何を訴えたいんだろう?」と考えてみるのです。

 一歩引いて分析してみて「こういうことでお叱りを受けているんですね」と言葉で整理してみると、「そう、そういうことだよ」と、お客様も腑に落ちます。

 トラブルや問題が起こった時は表面上の出来事に惑わされず、源流に戻って本質を見極めることが大切です。

 怒りや失望といったマイナスの感情に呑まれないためには、まずは自分をコントロールすること。決して人をコントロールしようとは思わないこと。

 そして冷静に、しかし情熱をもって人や事にあたることです。

 気づかいというのは、そうした日々の姿勢から生まれる「大人の嗜み」なのです。