小売り絶対絶命 百貨店・コンビニ・外食#6Photo by Satoru Okada,RomoloTavani/gettyimages

新型コロナウイルスの影響で、住宅地など一部の地域を除き売り上げが激減しているとされるコンビニエンスストア。大手3社の4月の既存店売上高は5~15%減少した。そして、売り上げが1割減っただけでも、オーナーの最終的な取り分は大幅に減少する。ダイヤモンド編集部の試算では、ローソンのオーナーの純利益が赤字となった。各社とも過去の無謀な拡大戦略のツケが、新型コロナで倍加している。『小売り絶体絶命 百貨店・コンビニ・アパレル・外食』(全7回)の#6では、社会インフラともいわれるコンビニ加盟店の脆弱な経営基盤可視化した。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

4月の売り上げはセブン5%減、ファミマ14.8%減
スーパーほど中食需要を取り込めず

 セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)はマイナス5%、ファミリーマートはマイナス14.8%、ローソンはマイナス11.5%――。これは4月のコンビニエンスストア大手3社の既存店売上高の前年同月比だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により家庭での食事が増えたことで、食品スーパーは売り上げを伸ばしている。これに対し、コンビニ各社はこれまでも中食需要に対応して総菜を強化してきたものの、全体としては及ばなかった。

 コンビニは地方の田園地帯から都心のオフィス街まで、国内の至る所に立地する。今回のコロナ禍で、住宅街や郊外では売り上げが大きく伸びた店舗がある半面、オフィス街や工場などがあるエリア、観光地では、売り上げが激減するなど、同じチェーンでも立地によって大きなばらつきがある。

 とはいえ、チェーン別ではSEJの減少幅が最も小さく、ファミリーマートはその3倍弱の減少幅となった。

 東京都心では大手3社のいずれもがドミナント出店(集中出店)している。そしてファミマは、どちらかというと東京以外でも都市部のオフィス街に立地する店舗が多い。これに対してSEJは都市部以外に郊外や地方でも積極的にドミナント出店している。またSEJは「セブンプレミアム」をはじめとした総菜への評価が他社よりも高く、これで中食需要を一定程度カバーできたのかもしれない。

 一方、チェーンを運営する本部の収益の増減だけでは語れないのがコンビニ業界である。コンビニの店舗の大半は、本部とフランチャイズ契約を結んだ加盟店で、形式的には独立した自営業者だ。加盟店オーナーは、従業員の人件費や売れ残った食品の仕入れ原価の大半を負担しなければならない。

 昨年以降、人手不足による人件費の高騰や、過剰出店による加盟店同士での客の奪い合いなど、コンビニ加盟店オーナーの過剰な負担が政府や世論から問題視されるようになった。事実上強制されている24時間営業についても、根本的な見直しは今なお進んでいない。

 そこへ、今年に入って襲い掛かったのが、新型コロナの感染拡大と外出自粛という消費行動の一大変化だった。