小売り絶対絶命 百貨店・コンビニ・外食#1
Photo by Satoru Okada,朝日新聞社/時事通信フォト

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2月にインバウンド客が“蒸発”、4月以降は都心の主要店舗が臨時休業を強いられ、売り上げが8~9割減などと危機的な状況に陥っている百貨店業界。日銭商売ながら固定費率が高く薄利のため、資金の手当てがなければ、手元の現預金は5~8カ月程度しか持たないことがダイヤモンド編集部の試算で明らかになった。特集『小売り絶体絶命 百貨店・コンビニ・アパレル・外食』(全7回)の#1では、未曽有の減収に見舞われた構造不況業種のダメージと将来を占う。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

5月は売上高9割減見通しの三越伊勢丹
過去最大級の減収で各社存続の危機

 日中なのに人通りがほとんどなく、シャッター街と化した東京・銀座4丁目の交差点――。こんなSF映画のような光景を一体、誰が予想しただろうか。

 新型コロナウイルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言を受けて、百貨店各社は一部の食料品売り場を除いて臨時休業に入った。

 百貨店へのコロナの影響としては、1月に中国で感染爆発が起きて以来、まずインバウンド客が姿を消したことが話題を集めた。だが緊急事態宣言が出た4月以降はまさに、桁違いの打撃を受けている。

 5月11日に2020年2月期通期決算を発表した三越伊勢丹ホールディングス(HD)。4月の売上高は前年同月比の実績値で21.9%と、8割近く減った。現状のまま主要店舗の休業が続いた場合、5月は7.2%にまで落ち込むとの見通しを明らかにした。他社も4月は同程度に売り上げが激減している。

 5月14日には、全国39県で緊急事態宣言の解除が決まった。地方ではその前から、高崎高島屋(群馬県高崎市)や高知大丸(高知市)が営業を再開していたが、これらの売り上げ規模は非常に小さい。東京や大阪の都心の店舗が営業を再開しない限り、苦しい状態は続く。

 首都圏では、高島屋が東京・二子玉川や千葉県の店舗とショッピングセンターで5月14日から、宝飾品や化粧品を除く売り場の営業を再開した。入り口では客が検温と手の消毒に協力。ワイシャツのオーダーや眼鏡のフィッティングを行う従業員はフェースガードを装着、レジは透明のシートで覆うなどの対策を取った。

5月14日、宝飾品などを除いて営業を再開した二子玉川髙島屋では、フェースシガードを装着した店員が対応した
5月14日、宝飾品などを除いて営業を再開した二子玉川高島屋では、フェースガードを装着した店員が対応した Photo by S.O.

 こうした手法を主要店舗での営業再開に生かすとみられる。二子玉川では売り場の7割が再開したことになるが、以前ほどに客が戻るのは難しいだろう。新型コロナの感染者数は全国的に減少傾向だが、感染拡大の第2波、第3波が起きれば、郊外店での営業も困難になる。

 バブル経済が崩壊して以降、百貨店が構造不況業種といわれるようになって久しい。2000年代は複数の経営統合で業界再編が進み、現在の大手4社体制が固まった。統合によって経営基盤は強化された。だが今回のコロナ危機の影響は甚大で、企業の存続をも脅かしかねない。

 そこでダイヤモンド編集部は、公表されている最新の通期決算に基づき、主要4社とセブン&アイ・HD傘下のそごう・西武の5社について、売り上げの激減した状態が何カ月続けば、手元の現金及び預金が枯渇するかをシミュレーションした。