農協の病根
Photo by Hirobumi Senbongi

全国584農協を束ねてきたJA全中の会長選挙に立候補したJA徳島中央会会長の中西庄次郎氏は、現職会長が決めた会長の定年延長について再検討する考えを示した。農業振興を最優先に組織を抜本改革するという。特集『農協の病根』(全9回)の#3では、中西氏への独占インタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

現職に挑む対抗馬の中西氏
「定年延長は再検討すべきだ」

 JA全中の会長選挙に注目が集まっている。6~7月にJAグループは全国組織(JA全中、商社機能を担うJA全農、保険事業を行うJA共済連)の会長選を行う。とりわけ、最初に行われるJA全中の会長選は重要だ。その結果次第で、JAグループの将来が大きく変わるからである。

 ちなみにJA全中とは、全国584農協を束ねてきた“政治組織”だ。14年の農協改革で農協監査の権限を失い、組織の存在意義を問われている。

 会長選挙の構図はシンプルだ。守旧派の中家徹・JA全中会長(70歳。現職)に改革派の中西庄次郎・JA徳島中央会会長が挑む一騎打ちとなっている。

 戦況は中家氏が若干優勢である。2月に、中家氏は自らの続投を可能にするため会長就任時の年齢制限を「70歳未満」から「70歳以下」に緩和した。

 こうした役員の定年延長の流れに呼応する形で、長期政権をもくろむ老害リーダーが中家氏に急接近している。その代表格が、JA共済連会長への立候補を表明したJA京都中央会会長の中川泰宏氏である(詳細は『JAグループ選挙で「老害リスク」高まる、“京都のドン”が共済連会長出馬』を参照)。

 では、中西氏に劣勢を覆す勝算はあるのだろうか。追い風となりそうなのが、中家氏が決めた役員の定年延長を「再検討する」という公約である。

 JA全中の会長選は、全国の農協組合長や、上部団体である連合会による投票で行われる(投票は6月18日~7月3日)。「定年延長は中家氏の我田引水」と批判する農協組合長は多く、選挙期間に突入して以降、中西氏が追い上げているとの見方もある。

 それぐらいJAグループの「老害リスク」は深刻になっている。中家氏による今回の定年延長のおかげで2期目への挑戦が可能になっていたJA全農会長の長澤豊氏は6月16日の全農経営管理委員会で今期限りでの退任を表明。続投に意欲的とみられていただけにトップニュースとして瞬時にJAグループ内に知れ渡った。

 長澤氏が続投を断念したのは、地元のJAグループ山形での役員の定年規定を延長できなかったためとみられている。

 中家氏と中西氏。どちらがJAグループの未来を切り開くリーダーにふさわしいのか。18日に行われた所信表明の具体的施策について尋ねるため、両候補に取材を申し込んだところ、中西氏がインタビューに応じた。