ポストコロナ「勝ち組」の条件#10Photo by Satoru Okada

4、5月に臨時休業に見舞われた百貨店業界。高島屋は海外店舗も大きな影響を受けたが、国内では5月中旬に食料品以外も営業を再開した。特集『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#10では、新型コロナウイルスの影響とウィズコロナ時代の戦略について、高島屋の村田善郎社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

3月休館は安心安全のための当然の措置
ポストコロナ、需要に応えて5月に再開

――高島屋は3月28、29日に臨時休業し、緊急事態宣言後は食料品以外の休業を経て、大手ではいち早く5月中旬から郊外店で営業を再開しました。

 3月には食料品も含めて全館休業しました。当時はまだ、取るべき対策も十分に分からず、顧客や従業員の安心安全を最優先しました。また、感染拡大防止と医療崩壊の阻止に協力するのは当然だと考えました。

 ただ、経済産業省などから食料品以外の生活物資も販売するよう要請がありました。特に郊外店は、地域の皆さんの生活インフラの役割を果たしています。郊外店を先にオープンさせたのは、こうした生活必需品の需要に応えるという面もありました。

 加えて取引先には、食料品で店のカウンター一つでやっておられる零細企業もあり、雇用や生活の問題もあります。彼らの生活や雇用に直接関係しますので、われわれの責任であると考えました。

 そしてウィズコロナ、ポストコロナ時代に向けて布石を打つためにも、できる限り営業を続ける必要があると判断しました。だんだんと感染予防対策の手法も見えてきましたし、生き残っていくために、感染防止をしながらできる限り営業を続けていくということです。