それは新型感染症のパンデミック(世界的流行)に対し、商品や体制の面での備えと提案が不十分でほとんど補償ができず、企業をはじめとした契約者の期待をことごとく裏切ったということだ。

 一方で損保業界は、影響が限定的だったことで大きな損失を免れたと胸をなで下ろし、コロナが終息すれば、そうした契約者からの批判的な雑音は次第に収まるだろうと、高をくくっている節さえあった。

 そうした姿勢を見て、鉄ついを下したのが経営を監督する金融庁だった。2007年の「不払い問題」以来ともされる、損保と金融庁の補償方針を巡るバトルは、今後どのような決着を迎えるのか。大手損保の一部で、休業補償の拡充などを巡っていまだに続く舞台裏での激しい攻防の様子からは、政治家やOBを巻き込んだ厳しい利害の対立が垣間見える。

 そうした混乱のさなかにあり、家計が厳しさを増す状況で、私たちは契約者として保険とどう向き合っていくべきなのか。特集では保険会社としての経営姿勢からそれぞれの商品の特性まで、さまざまな角度から探っていく。