上場企業全体を対象とした倒産危険度ランキングに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で、甚大な打撃が避けられない13業種について、それぞれ業種別のランキングを作成した。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#23では鉄鋼業界を取り上げる。12社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
6社から3社に再編された高炉メーカー
コロナ禍がさらなる再編の引き金にも
「産業のコメ」と称された鉄。1990年代以降は半導体にその称号は取って代わられたものの、日本経済の高度成長を支えた基礎素材。そんな鉄鋼業だからこそ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖、工場の操業停止、移動の自粛で世界的にさまざまな製品の需要が蒸発した影響をもろに受けることになった。
鉄鋼業界・倒産危険度ランキングで1位になったのは三菱製鋼。特殊鋼やばねが同社の収入の柱だ。主な販売先である建設機械業界や自動車業界の需要減少で、2020年3月期の営業利益は前期比58.6%減の4億3600万円となった。
さらに、業績が振るわない特殊鋼鋼材事業のインドネシア子会社、ばね事業の米国や欧州の子会社の固定資産の減損を計上したことで、純損益は140億7000万円の大幅な赤字(19年3月期は2億8000万円の黒字)となった。
コロナ禍以前から鉄鋼業界は、中国勢との競争激化や国内設備の老朽化、人口減少に伴う国内需要縮小などの課題に直面していた。
その中で、以前は6社あった高炉メーカーは現在、日本製鉄 JFEホールディングス、神戸製鋼所の3社に再編された。コロナ禍で鋼材の需要減少に拍車が掛かるようであればさらなる再編が進む公算も否定できない。
その高炉メーカーで唯一、倒産危険度を示すZスコアが危険水域に入った会社がある。