倒産危険度ランキング#20
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「コロナで資金繰りが厳しい」――そんな中小企業・小規模事業者を救うのが、補助金・減税・融資の3点セットだ。これらを使い倒せれば、倒産回避の大きな力となる。しかし一方で、メニューが豊富過ぎるが故に専門家ですら隅々まで把握できておらず、使い勝手が悪い面もある。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#20では、3点セットをチャートで分類し、詳細をマニュアル化して活用ポイントを整理した。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

多過ぎるメニューが足かせに
専門家でも「把握漏れ」

 東京都のある旅客運送会社の社長は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営が一気に苦しくなり頭を抱えていた。なぜなら緊急事態宣言のさなか、修学旅行の中止や訪日外国人観光客の減少などで売上高が前年の同時期と比べて90%以上もダウンしてしまったからだ。

 この会社の年間売上高は10億円台半ば。つまり、ひと月に1億円以上の売り上げが一気に吹っ飛んだわけだ。

 しかし、人件費や家賃などの固定費は毎月、支払いが発生する。人件費については、景気悪化などで従業員を休業させたときに支払う「休業手当」の一部を助成する「雇用調整助成金」という国の制度で賄える。しかし、車両のリース代や駐車場代の支払いはカバーできない。その額は月に数千万円に上った。

 この社長は金策のため、取引先の金融機関に駆け込んだ。そこでコロナを乗り切るための融資を紹介され、目いっぱい借りられるだけ借りた。

 ここで紹介されたのは「セーフティネット保証5号」というものだ。コロナなど突発的な事象で経営が悪化した中小企業に対し、資金繰り倒産を避けるために信用保証協会が通常の保証枠とは別枠で借入債務の80%を保証するというもの。要するに、すでに借金がある場合でもお金を借りやすくなる仕組みだ。これにより2億円以上を調達できた。

 他にも不動産を幾つか売却するなどして、何とか資金繰りにめどを付けた。「客足が以前ほど戻らなくても、取りあえず1年間はどうにか経営を維持できる」と胸をなで下ろした。

 このように、コロナにより売り上げが激減して資金繰りが行き詰まりそうになった中小企業・小規模事業者の例は枚挙にいとまがない。そんな事業者を救うべく、国や自治体は支援制度を次々と打ち出してきた。

 しかし一方で、メニューが豊富になり過ぎてしまい、どの制度が自社に当てはまるのかが分かりづらく、使い勝手が悪いという問題も浮上している。

「制度によって相談窓口や提出書類がばらばら。対象となる売上高の減少率も5%、20%、50%などばらつきがあり、制度の仕組みを正しく理解する妨げになっている」と、ドリームサポート社会保険労務士法人の安中繁代表は話す。

 そこで本稿では、中小企業・小規模事業者がコロナを乗り切るためのお金の制度を正しく理解する入り口として、各種の支援制度をチャート式に整理してみた。