♪ミネラ~ルむぎちゃ――。1980年代には女優の松島トモ子さんが起用され、同製品のCMに出演していた。印象に残るメロディーのCMソングを覚えている人は多いはずだ。この麦茶を製造する石垣食品は、不適切会計を行い、現在債務超過にも陥り上場廃止の危機にひんしている。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#27では、倒産危険度ランキングでワースト9位の石垣食品の会長を直撃した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
世界初の水出し麦茶
環境変化と競争激化で苦境に
――石垣食品が、世界で初めて開発した水出し麦茶。その飲料事業は、売り上げが右肩下がりだ。
水出し麦茶は、小中学生のお子さんがいる主婦がメインターゲットだ。家に帰ってきたお子さんに、当社の麦茶を飲んでもらうというイメージ。
残念ながら、1980~90年代から小中学生のお子さんの数自体が減少傾向となっている。加えて、市場の激化で商品単価の下落も追い打ちだ。
――これまで、どのような改善策を打ってきたのか。
当社の水出し麦茶は、浅く焙煎した麦と、深く焙煎した麦を組み合わせ、ティーバッグも浸出性の良いものにしている。麦の味がたくさん抽出されるため、おいしいと思っている。
(水出し麦茶に)参入している他社は、少ない麦の量でいかにたくさんの麦茶を作るかを追求している。われわれの商品1袋に入っている麦の量は12gだが、他社の多くは8g程度だ。
つまり、深く焙煎することで少ない量でも、濃い色が出るようにしているのだ。ただ、そうして作られたものは、私は、おいしくないものと思っている。
われわれの麦茶は、おいしくできていると思っているので、さまざまな場所で試飲する機会を提供し、差別化を試みている。飲んで違いを理解していただくということを訴求している。
例えば、今年もだが、日本気象協会が各地で熱中症をなくす説明会やイベントをやっており、われわれはスポンサーとして関わって、実際に麦茶を試飲する機会を設けている。
――ただ、消費者は、麦の量が12gでおいしいとされるものより、8gでも色がしっかり出るものを選択しているのが現在の状況では。
そこが負けている点だと思っている。
――どのようにして、水出し麦茶を立て直すか。
ペットボトルなどによる廃プラスチックの問題もあり、自らお茶を作りマイボトルに詰めてオフィスに持っていく流れが出てきている。その流れをしっかり捉えていく。