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「人生を変えるのに、最も効果的なライフハックとは何だろう?」と、デイヴ・アスプリー氏はこれまで20年近くかけて、シリコンバレーの最新のラボからチベットの修道院まで、世界中のあらゆる場所に足を運んで、体当たりの自己実験で研究してきた
さらに、脳科学、生理学、東洋哲学、心理学といった分野の専門家の他、アスリート、医師、ライフハックの達人まで、400人以上の研究者や成功者たち(つまり、世の中のルールを変える「ゲームチェンジャー」たち)に、「最も重要な3つのことをあげてほしい」と取材を重ねてきた。
そんな探求の果てにつかんだ答えを「脳」「休息」「快楽」「睡眠」「運動」「食事」「幸福」「人間関係」等の分野に体系化、1冊の「究極のハック集」にまとめたのが『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、栗原百代訳)だ。
著者自身、「20年前にこの本に載っていることを知っていたら、どんなに人生が違っていただろう」という衝撃的なハックが目白押しの本書から、一部を特別に公開する。

通常のライフハック本では語られない「重要事項」

 じつのところ、セックスはゲームチェンジャーたちのパフォーマンス向上テクニックの上位には入っていない。

 話の流れでセックスに言及したゲストは多かったが、その重要性をざっくばらんに語る人は少なかった。たぶん色好みの愚か者と思われるのを心配したのだろう。多くの人がセックスに恥ずかしさや、きまりの悪さを抱くのは確かだ。それは汚く、悪いことで、人前で話すべきではないと幼少期に教えられる人もいる。

 そんなわけで、セックスはインタビューの結果を分析したデータに入ってこないが、全体を通じた印象としては、ライフハックを論じる本でセックスを無視することはできない。

 なんといっても、セックスは人間が営む3つの重要な行為のひとつであり、男でも女でも、無意識のうちにパフォーマンスに直接の影響を受けているのだ。

 セックスはあなたのホルモン値に、神経伝達物質に、脳波に、そして総合的な幸福度に影響を及ぼす。そしてそれらすべてが、親として、夫あるいは妻として、友人として、従業員として必要な能力に直接に影響する。

 人間の脳には生存のために必要な「F」で始まる3つの行為が組み込まれている。重要な順に、「闘争・逃走」(fight or flight)、「食物の摂取」(feed)、そして……この章で取り上げるもうひとつのFで始まる行為だ。どれもあなたを生きつづけさせ、種の増殖を確実にする行為なので、人間の身体はほかのことよりこの3つを優先する(「闘争・逃走反応」とは、ヒトを含む動物が危険から身を守るために発展させた、不安や恐怖を感じた際、急激にストレスホルモンが高まる現象)

 つまり、身体はこれら3つの本能のために最も多くのエネルギーを生成する。「完全無欠」であるための肝は、これを自在に操り、その背後にあるエネルギーを最適なかたちで吸収することだ。

 セックスは、生きつづけるために身体が必要とすることのひとつだ。振り回されて大量のエネルギーを浪費するのか、本書の助言に従ってパフォーマンスを強化する原動力とするのか、あなたは選ぶことができる。(中略)

古代中国の「道士」の教えは本当?

(科学的知見を実践して自らの頭脳・肉体の最適化をめざす)バイオハッカーを自認する僕は、セックスについても学んだ理論を自分で試さずにはいられなかった。『性の進化論』(作品社)で男女関係の見方を変えたクリストファー・ライアンにならい、道教の房中術、つまり性技もいくつか試してみた。

 バイオハッキングから東洋哲学の探索へと導かれた僕は、古代中国の道士──世界最古のバイオハッカー──が性的エネルギーを不死の妙薬へと転換しようとしていたことを発見した。彼らは若さを保つために、男性が維持すべき射精の頻度さえ定式化していたのだ。

 次の射精までの日数=(年齢-7)÷4

 これで射精から次の射精までの理想的な日数が割り出される(算数がセクシーじゃないなんてだれが言った?)。さらに彼らは、永遠に生きたい男性は30日に1回だけ射精をして、オーガズムは1回につき1時間以内(!?)に抑えろとさえ教えている(もっとも、不死の道士がいたなどという話は聞いたことがないが)

 僕はこれを数年前、39歳のときに実地に試みた。上に記した道教の公式によれば、僕の射精から次の射精までの理想的な日数は8日間だ。これは『ベスト・パートナーになるために』(三笠書房)著者のジョン・グレイ博士の推奨する7日という数字に近い。

 僕はほぼ1年間この公式に従い、セックス(またはマスターベーション)の頻度、射精の頻度、そして自分が感じたQOL(生活の質)を1~10のスケール(1=最低、5=普通、10=最高)で採点して記録した。キャリア、エネルギー、夫婦関係、健康への満足度など、あらゆることを採点に含めた。

 かなり恥ずかしいが、僕はここでその結果をシェアして、パフォーマンスを向上させるために性欲を抑えることの重要性を示すつもりだ。僕のセックスライフのデータなど(きわどい詳細は伏せるが)気持ち悪くて読めないという人は、遠慮なく飛ばして次に進んでほしい。僕は別にかまわないが、おそらくあなたは、自分にもあてはまる興味深い結果(驚くべき結果もある)を見逃すことになるだろう。

 ここでのポイントは、人間の身体は膨大なエネルギーをセックスに注ぎ込んでおり、そのエネルギーは別の使い方もできるということだ。