特集『コロナで激変!医師・最新序列』(全12回)の#8はSNSで発信する医者による本音ぶちまけトーク、覆面座談会の第2弾。かつては高年収でステータスもあった医者という職業だが、もはや夢の稼業ではなくなり、コスパの悪い職業となった。しかもコロナにより、さらに状況は悪化しそうだという。(聞き手/ダイヤモンド編集部 野村聖子)
みんな大好きPCR検査、「その信頼度は“浮気調査”並み」なんですけど!?
――ワイドショーの影響は現場で大きかったのでしょうか?
D 「とにかくPCRしろ」っつの?
A (PCRが)何の略語か言ってみろと。
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D コロナかコロナじゃないかはっきりしろっていうけど……。だからはっきりできないんだって!
A 陰性証明書出せってやつね。
D 旦那に探偵つけて3日間尾行しましょうという検査であって、3日間何もなかったから浮気をしてないという証明にはならないんですよ、写真撮れたら浮気をしてる証明にはなるけどって説明した。
C なるほど(笑)。
――PCRは、医師がオーダーした検査が保健所ではじかれたという事例が、ダイヤモンド編集部の取材でも実際にありました。それで「国が意図的にPCRを絞っている」とワイドショーが喧伝し、パニックにつながった。ただ、その一方で、そもそも医療機関の数に対して保健所が少な過ぎるのは誰が見ても明らかです。なのに、当初は検査の窓口をそこに集約していた。
A 保健所に何でもかんでも業務を集中させ過ぎましたよね。4月に保健所に電話すると、応対の人の声に全く生気がなくて、思わず「大丈夫ですか?生きてますか!?」と(笑)。
D しかも、システムがアナログですよね。保健所に提出する「コロナ発生届」なんて、今どきまだ手書きにファクス方式というのにはあきれました。
B あとは、嗅覚障害の話が出たじゃないですか、藤浪(晋太郎・プロ野球阪神タイガース選手 :注1)の。その問い合わせも多くて、聞いたら3カ月前から臭わないとか、絶対コロナじゃない(笑)。そういうのは耳鼻科は多かったと思います。
A 「37.5度が4日継続」という受診の目安がなくなった5月以降は、コロナ患者じゃなくて、コロナパニック者が押し寄せてきて……。世間ではいろいろ言われてますけど、あの目安が医療機関を守っていたのは間違いない。
(注1)3月下旬にプロ野球・阪神タイガースの藤浪晋太郎選手が新型コロナウイルスに感染し、嗅覚障害を訴えていたことが報じられた