「高収入で社会的地位が高い。どんな不況にも強く、決して食いっぱぐれることはない」。そんな医師免許の神話がコロナで崩壊の危機にある。医療関係者や家族への差別、常態化する時間外労働、そして「失業の危機にひんした医師の増加」――。特集『コロナで激変!医師・最新序列』(全12回)の#3では、「最強資格・医師」が今直面している激変に迫る。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
コロナ後は「安定」「高収入」が終焉?医師業界が直面する「今そこにある危機」
高収入で社会的地位が高い。どんな不況にも強く、決して食いっぱぐれることはない――。
バブル崩壊以降、これを満たしてきた職業は、医師しかないといっても過言ではない。
文系の最強資格だった弁護士、公認会計士には、食えないワーキングプア寸前の者まで登場。他の理系の職業といっても、日本の製造業の未来は決して明るくなく、一生をささげる仕事としては心もとない。このようなマインドが、ここ数十年の医学部受験を過熱させ、医学部の平均偏差値は、およそ10上昇、いまや十数倍という倍率を勝ち抜かなければ、医師への道は開けないほどだ。
それだけ苦労して医師になった先には何が待っているのか。
確かに医師の給料は高く、女性でも30代になれば平均給与が1000万円を超える。
60歳を超えても、年収はそれほど下がらず、人生100年時代を見据えれば、長く働けるという面でも、医師は魅力的だ。
しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、実際に患者の対応に当たった医師たちは、ほとんどが危険手当ももらえずに、最前線に立たされ続けた。