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「分をわきまえない」ことこそが
圧倒的な当事者意識
編集部(以下青文字):次にユニークネスの2つ目の「圧倒的な当事者意識」ですが、これは「圧倒的な」がついていることがポイントなのでしょうか。
峰岸(以下略):当事者意識という言葉は、一般的には、自分の持ち場の中で頑張るといった意味だと思います。
しかし、当社の「圧倒的な当事者意識」には「みずからの分をわきまえない」というニュアンスがあります。顧客や事業の価値に立脚し、自分がこうだと思った時には、上司であろうが先輩であろうが意見する。また、自分の持ち場以外のセクションでも見過ごさず、問題提起する。それだけではなく、自分がリーダーシップを取り、いろいろな人たちを巻き込んで、実行するケースも数多くあります。
社内だけではありません。顧客企業やその業界の発展にとって正しいと思えば、たとえ相手が社長であっても、物怖じせずにドアをノックすることも少なくありません。
つまり、圧倒的な当事者意識というのは、自分の持ち場だけでなく、「チーム・事業」はもとより、「顧客・マーケット」「社会」に対しての圧倒的な当事者意識ということです。
3つ目のユニークネスである「個の可能性に期待し合う場」とは、どういうことでしょうか。
これは、「人の可能性を信じ、人の思いや自発性を引き出す組織」や「目的を達成するために、それぞれの能力を引き出し合う現場やチーム」のことをいいます。
我々は、「個の可能性に期待し合う場」から、より大きな成果が生まれると考えています。そこで、たとえば、優れた取り組みについて、そのプロセスから成果まで表彰・シェアするような機会が大変多く設けられています。フォーマル・インフォーマル問わず、ビジョンと目標が共有され、共感が醸成される場も数多く設けられています。ナレッジシェアリングと称賛が大事な観点なのです。
個人の可能性や思いを知り、信じ、協働する。そうやって、お互いの可能性を引き出し、高め合うことで、想定以上の成果が生まれるのだと思います。
リクルートは昔から広告受注などで目標達成すると、社内に大きな垂れ幕を下げて皆で拍手喝采する「垂れ幕文化」がありますね。
称賛と表裏一体ともいえるのが高い目標です。本人が仕事で実現したいと思っている「Will」よりももう少し高い目標を課したり、高いポジションに就かせたり、刺激の強い機会を与えたりします。
そして、高い成果を出した人にスポットライトを当てるため、「フォーラム」という一大イベントを毎年開催しています。「商品開発・改善部門」「テクノロジー部門」「経営基盤部門」「顧客接点部門」という4部門において、新規性と汎用性と貢献性が高く優れた取り組みを数十組選出し、それを国内外のグループ全社員でナレッジ共有するのが目的です。しかし、いわゆる社長賞のような一般的な社内表彰制度とはまったく違います。