リモート環境下では「性善説」で考える

――リモートワーク環境下で部下とコミュニケーションをとる際の心構えなどはありますか?

吉田 部下を支配しようとしないことです。リモート下でのマネジメントがうまくいっていないリーダーは、部下の行動を事細かく管理する「マイクロマネジメント」をしてしまっています。2時間に1回連絡をして、細かくチェックするとか。

 そうなると、部下はウソをつくようになったり、抽象的な報告しかしなくなったりします。その結果、報告と実態が合わないので、適切なマネジメントができず、リーダーは部下に対して疑心暗鬼になります。マイクロマネジメントを続けるとリーダーのメンタルが先にやられてしまいます。

伊庭 私の本にも書いていますが、マイクロマネジメントは部下のチャレンジ精神を奪い、部下の成長の機会を奪います。心配なこと、理解できないこともいろいろあると思いますが、ひとまずは部下を信頼して任せてみることが大事です。

吉田 性善説で考えた方がいいですね。

伊庭 性善説じゃないとリーダーのメンタルが保ちませんよ。「あいつサボっているじゃないか?」と疑えば疑うほど、不安になっていきますから。

吉田 ある会社では、リモートワーク中に、業務用PCのカメラを常に作動させるルールになっているそうです。要するに監視カメラの代わりです。性悪説で社員をとらえているんですね。でもそんなふうに監視されると社員のモチベーションは下がります。

 誰だって業務時間中に息抜きは必要です。それをサボるととらえるのではなく、「企画のネタを考える時間」「同僚とコミュニケーションをとる時間」みたいに、良い方向にとらえればいいんです。マイクロマネジメントで部下を追い込んでも、時間を1秒もムダにせず働かせることなんてできませんから。(後編に続く)

新型コロナの混乱をチャンスに変えチームを飛躍させられるリーダーとは?(前編)