コロナショックによる巣ごもり需要でゲーム業界が勢いづいている。任天堂やソニーの家庭用ゲーム機の売れ行きが大幅アップ。ゲーム各社のゲームソフトも総じて好調のようだ。一方で、ゲーム業界が絶賛売り込み中のeスポーツは意外にも苦戦している。特集『日本企業、緊急事態宣言』の#25では、それらの背景を解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
任天堂「スイッチ」とソニー「プレステ4」
家庭用ゲーム機がバカ売れ
コロナショックによる巣ごもり需要で、ゲーム業界が活況を呈している。
ゲーム総合情報メディア「ファミ通」の調べでは、3月の国内家庭用ゲーム機売り上げ(集計期間は2月24日~3月29日の5週間)は、任天堂のスイッチが前月比2.8倍の83.6万台と絶好調。ソニーのプレイステーション(プレステ)4も同2.3倍の6.4万台と好調だ。
スイッチは発売して4年目。プレステ4に至っては発売8年目となる上、年末に次世代機のプレステ5が発売されることが明らかになっているのにもかかわらず、の好調ぶりだ。
任天堂は3月20日発売のスイッチ向けゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」も同期間の店頭販売(通販含む)で260万本(ファミ通調べ)を売り上げる好調ぶりを見せており、人気ソフトがゲーム機販売をけん引した背景もありそうだ。それにしてもソフトの売れ行きも含め、巣ごもり需要が追い風となっているのは間違いないだろう。
ところが、である。複数の大手ゲームソフト会社はダイヤモンド編集部の取材に対して「コロナショックによる巣ごもり需要がゲーム会社の業績に反映されている認識はない」と冷静な姿勢を崩さない。
エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、「世相を反映して子どもからお年寄りまで楽しめる雰囲気の明るいゲームが人気で、特に(ポートフォリオからして)任天堂に需要が集中しているのではないか」と分析する。ゲーム特需を否定するゲームソフト会社については、「実際は特需が発生していても不謹慎と考えて、公式コメントとしては控えている可能性がある」とみる。
一方、ゲーム業界が近年猛アピールする「eスポーツ」(エレクトロニック・スポーツ)はどうか。
プロ野球やJリーグなどのリアルスポーツが感染拡大防止の観点から開催できない中、「バーチャル世界で競うeスポーツの独り勝ち」なのではないか。そう思いきや、意外にも苦戦しているようなのだ。