部下の相談に対し「全部やってみろ」「とにかく頑張れ」と根性論で返してしまう――。ダメ上司のあるあるだ。こうした事態を防ぐため、特集『夏だ!スキルだ!3日で絶対!習得シリーズ 2020』(全30回)の「ロジカルチェック術」(全3回)最終日は、効果のある問題解決法を解説。論理思考を使って、本質的な原因を明らかにしていくことが大事。そのために使えるMECEも紹介する。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)
【NG例】
オウム返しと思い付きは絶対にダメ
「とにかく頑張ってやれ」という精神論のわな
ロジ部長(40歳)
部長に昇進したばかり。部下を育てようと必死だがなかなか思うようにいかない。
カル田(25歳)
入社2年目の若手社員。仕事へのモチベーションは高いがいつも空回りしてしまう。
ロジ部長「カル田、今月のチームの調子はどうだ?」
カル田「まだ売り上げ目標を達成していません」
ロジ部長「そうか。じゃあ、何とかして売り上げが伸びるよう、頑張ってみて」
カル田「そうですね……。どう手を打てばよいでしょうか?」
ロジ部長「値引きをするとか、新規の客を開拓するとか、いろいろ方法はあるだろう。とにかくできる対策を全部やってみたらどうだ?」
カル田「分かりました!全部やってみます!」
◇
上述の会話は一見、よくある上司と部下のやりとりに感じる。だが、よく読むと、ロジ部長はカル田の相談に全く応じていないのが、お分かりだろうか?ロジ部長は自分のことをロジカルなタイプと思っているが、決してそんなことはなさそうだ。
「自分のチームは売り上げ目標を達成していない」と報告するカル田に対し、「なぜ売り上げが伸び悩んでいるのか」を問うたり考えたりすることはなく、ただ「売り上げが伸びるように頑張れ」と抽象的な答えをしてしまっている。これでは、まるで解決策になっていない。
さらに、売り上げを伸ばす施策として「値引き」「新規の客を開拓」など、思い付きを並べているが、解決策の方向性があいまいだ。もちろん、手を打てば多少の効果はあるだろうが、カル田のチームの売り上げが伸びない問題に対する根本的な解決になるかどうかは分からない。
最後に、優先順位が欠如している。「とにかく全部やってみたらどうだ」はただの根性論であり、全く論理的ではない。問題が起こったときに、次に紹介するロジカルな解決方法で考えることができれば、ロジ部長のようなわなに陥らないで済む。