アフターコロナの医学部・最新序列#2Photo:sesame/gettyimages

子どもを将来医学部に入れたい、と中学受験に励んでいるのに、なかなか成績が伸びなくて悩む保護者に朗報だ。中学受験時の偏差値は低くとも、医学部に学生を現役合格させている中高一貫校が数多くあるからだ。特集『アフターコロナの医学部・最新序列』(全10回)の#2では入りやすく、卒業までの間に学力を上げてくれる学校に注目した。「ハイレバレッジ」校はどこ?(教育ジャーナリスト 庄村敦子、ダイヤモンド編集部 山出暁子)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月27日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

入りやすいのに医学部現役合格が叶う、
お得な中高一貫校を探し出せ

「小学校低学年から中学受験塾に通わせているのに、子どもの成績は伸び悩んでいる。こんな成績じゃ、医学部進学に有利な中高一貫校合格なんて無理?」

 子どもを医学部に入れたいのに悩んでいる親もいるかもしれない。だが、偏差値が高い中高一貫校に入れそうにないからといって、医学部を諦めるのは早い。中学入試の偏差値はそれほど高くないのに、6年間で生徒の学力をぐんと伸ばし、難関の国公立大医学部に現役合格させている中高一貫校が数多くあるのだ。

 ダイヤモンド編集部では、今年医学部に合格した生徒が中学受験をした2014年に、男子偏差値が55以下(共学・男子校)または女子偏差値が55以下(女子校)で、かつ「今春、国公立大医学部に2人以上の現役合格者」を出した中高一貫校を調べた。

 私立大医学部への合格実績は、併願が可能であることから一人の成績優秀者が複数校合格しているケースが含まれる。一方、国公立大医学部は難関であることに加えて併願ができないため(前期・後期に出願はできる)、中高一貫校の教育力、合格者の実態が把握しやすいことから国公立大の合格実績を採用した。

 また、卒業生数は学校によって大きく異なるため、現役の合格者数に加え、卒業生数、現役の合格率も掲載した。14年の偏差値と比べて変動があるかどうかを見るために、20年の偏差値も併せて掲載している。

 次ページの表に出ている学校は、“入り口”である中学入学時にはそれほど高くなかった学力を、6年間の中高一貫教育で最大限に伸ばし、“出口”である大学受験で大きな成果を上げている。入るときの偏差値がそれほど高くなかったのに、医学部に現役合格者を出すのだから、高レバレッジの“おトク”校だといえるだろう。

 日能研・進学レーダー編集長の井上修氏は、比較的入りやすくて、国公立大医学部に現役合格者を出している中高一貫校の特徴を次のように分析する。

「1学年が200人以下の小規模校は、教員と生徒の距離が近いため、生徒一人一人にきめ細かな指導を行うことができ、6年間で生徒の学力は大きく伸びる。ただ、医学部は学力があるだけでは合格が難しい。キャリア教育で心も育て、医学部の受験対策もしっかり行っている学校が、医学部合格者を出している」