アフターコロナの医学部・最新序列#6Photo:PIXTA

2020年に行われた各医学部の入試は志願者数、倍率とも横ばいとなった。新型コロナウイルスの感染拡大は医学部入試にどんな影響を与えるのか。特集『アフターコロナの医学部・最新序列』(全10回)の#6では、20年の医学部入試を振り返りつつ、今後の受験動向を占ってみよう。(ダイヤモンド編集部 山出暁子)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月27日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

志願者数・倍率ともに
横ばい・下落傾向でチャンス到来?

 中堅ランクの私立大学医学部といえども、私立大文系トップ学部と同程度の学力が必要といわれるほど難関の医学部入試。特にリーマンショック後の景気低迷期には、医師は“年収が高く、長く働ける食いっぱぐれない職業”として、成績優秀層が医学部を志望し、人気故に偏差値も上昇し続けた。

 その医学部人気にここ数年、陰りが見えている。医師不足の懸念から国の「医師確保対策」として2008年以降、医学部の定員増が図られてきたが、早ければ25年には医師余りになるとの推計に加え、昨今の「働き方改革」を巡る論議の中で、医師の“ブラック職場”の実態が表面化。成績優秀層が医学部を敬遠し、AI(人工知能)などの情報系学部等に進むケースが増えてきたためだ。

 それに加え、かつて医学部は難関故に浪人が当たり前だったが、定員増加で浪人生が減少していることも志願者数減の一因となっている。「この四半世紀で今は最も医学部に入りやすい環境に思える」と語る予備校関係者もいる。

 今春行われた20年入試からもその傾向が見て取れる。

 医学部の志願者数は、国公立大で6年連続の減少、私立大では減少傾向の中で総数は横ばいとなった。倍率も特に国公立大では51校中、32校が前年に比べて低下あるいは横ばいだった。