アフターコロナの医学部・最新序列#9
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今医学部人気が熱い。女子学生の人気も高まり、アナウンサーやスポーツ選手などの著名人でも医学部受験を表明する人が増えた。だが、受験を突破した後の実際の医師のキャリアパスはどうなるのか。特集『アフターコロナの医学部・最新序列』(全10回)の#9では、「ドクターX~外科医・大門未知子~」等の医療ドラマの制作協力でも知られたフリーランス麻酔科医、筒井冨美氏が医学部人気とその後について忖度なしで明らかにする。

筒井冨美(つつい・ふみ)●フリーランス麻酔科医

1966年生まれ。医学博士。地方の非医師家庭に生まれ、某国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、12年から「ドクターX~外科医・大門未知子~」など医療ドラマへの制作協力や執筆活動も行う。近著に『女医問題ぶった斬り!女性減点入試の真犯人』(光文社新書)。

女子アナもW杯選手も続々医大を目指す

 大学入試における医学部人気が熱い。学費の総額約400万円の国公立大学医学部の多くは東京大学の非医学部の偏差値をしのぎ、同1800万~4500万円の私立医大も、平均して20年間で偏差値10前後の上昇を遂げた。

 弁護士や公認会計士は急増したためワーキングプア化する者も出現したし、官僚は現役時代の薄給激務の割に天下り先が痩せ細る一方だ。日系大企業も経営破綻が珍しくなくなったし、外資金融も解雇リスクが大きい。従来のエリートコースが次々と凋落する一方で「年収1000万が保証された日本唯一のプラチナライセンス」の医学部人気は衰えを知らず、進学校や塾のホームページでは「東大合格者○名」と並んで「医学部○名」と宣伝するのが定番となって久しい。

 医学部偏差値上昇の一因は、女子受験生の増加である。昭和時代には「女が医大に行ったら結婚できない」などとささやかれて敬遠されがちだったのが、昭和時代からのキャリア派女性層に加えて「官僚や総合職は激務が必須だが、女医はパート勤務も可能」「医師夫をゲットする近道」と、「家庭と両立できる高ステータス職」として女子高生が積極的に医大受験にチャレンジするようになった。

 近年の高校別の医大合格者ランキングには、桜蔭高校などの女子進学校が複数トップ10入りすることが常態化している。特に私立医大においては白百合学園高校や雙葉高校のような、昭和時代には「医師夫人の出身校」だった名門女子高が目立つ。

 社会人においても医学部人気は高まる一方だ。2016年に医大に入学した元NHKキャスターで気象予報士の小島亜輝子氏、18年に編入学した元NHKアナウンサーの島津有理子氏、20年に入学した柔道家の朝比奈沙羅氏など、異業種で活躍した女性の医学部再入学も目立つ。

 こちらは男性だが、19年のラグビーワールドカップで活躍した福岡堅樹氏は、東京五輪出場を断念して医学部受験に専念することを20年6月に公表している。

“東京医大ショック”で突破されたガラスの天井

 18年7月、東京医科大学における文部科学省高官の息子の裏口入学が発覚した。高級官僚への賄賂は不動産や株券などで行われた事例が多いが、「入試で加点」がその代わりになるとは……。昨今の医学部人気を改めて思い知らされた。

 さらに8月には、同校の「女性受験生や多浪受験生への組織的な減点操作」が発覚し、裏口入学をしのぐ大騒動となった。東京医大の門前にはデモ隊が並び、マスコミは連日、トップニュースで報じた。