●余談(エレベータートーク)

 帰り際に別件の相談や情報交換などを行うことをエレベータートークと言いますが、オンライン会議では終了後にそれぞれが退席してしまうため、会話を続けることが難しくなります。そこで、アポイントが終了した後、窓口となる担当者など一番関係が近い方に電話して、進め方に問題はなかったか、他の参加者の反応はどうだったかなど振り返りを行います。このフォローを繰り返し行うとアポイントの場では分からなかった顧客側の反応や課題意識などを把握することができます。顧客側からすれば、メールするほどでもない依頼や公の場では言いづらい率直な要望を伝える機会にもなります。

組織としての営業活動のナレッジを集める

 このように、オンライン商談も工夫によって、効果を上げることができます。また、オンライン対応は顧客側にもメリットがあります。事前連絡や議事録作成などに時間がかかるかもしれませんが、対面での移動時間を考えるとむしろ効率的です。

「新しい生活様式」(*2)では、テレワークやオンラインでの会議が推奨されています。コロナ禍が収束(終息)したとしても、経済合理性を考えれば、オンライン化が進んでいくことは間違いないでしょう。一方で、筆者は対面アポイントが今後も残ると考えています。ただし、時間と交通費をかけて対面でアポイントに臨む価値については顧客に伝えることが重要です。他者(社)よりも早くオンライン化を習得した営業(組織)が優位性を持つはずです。

(*2)参考:厚生労働省ホームページ『「新しい生活様式」の実践例』

オンラインを有効活用することの効果

 最後に、以下はある企業の営業担当者が対面営業をした時とオンラインに移行した時の営業活動の違いを表したものです。オンライン化によって、生産性が大きく改善しているのは明らかです。もちろん、業界慣習やシステム環境などの問題もあり、すべてを一律に変更できるわけではありません。しかし、コロナ禍によって、顧客側もオンラインを受容する雰囲気が広まっている今こそ、逆境を生かして営業プロセスを効率的にできるターニングポイントになるのではないでしょうか。

オンライン化を進めた場合の1日のスケジュールのイメージオンライン化を進めた場合の1日のスケジュールのイメージ
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