オンライン営業でも
顧客課題のヒアリングが重要
さて、テレマによってニーズのあることがわかった顧客に対し、オンラインで商談した後に、「オンラインで商品説明しましたが、他社より値段が高くて売れませんでした」「やっぱりオンラインじゃ売れませんねー」という営業担当者の話を最近よく耳にする。
しかしこの場合、多くは「商品単価」や「オンライン」といった手法ではなく、「コロナだから売れなくても仕方ないじゃん」というスタンスに問題がある。そもそもリアルでも、商品説明の演説をしただけでは売れない。
例えば、賃貸物件に設置する宅配ボックスの営業なら、まずは「大家がどんな思いでアパート経営を始めたか」「今、どんな人が住んでいるのか」などを傾聴すべきだ。すると、顧客との間に「うちのことをわかってくれる」という共感の接点ができる。そしてしばらくすれば、「先日も玄関開けたら部屋が丸見えで恥ずかしいから、居留守を決め込んで宅配ボックスを使う方がいましたよ」なんて営業の話に顧客が共感してくれるようになるだろう。顧客である大家は宅配ボックスの商品説明ではなく、これによって空室が埋まるかどうかを知りたいのだ。
ビジネスITシステムの営業であれば、機能説明だけでなく、顧客の日常業務に関する困りごとを傾聴し、その解決策を考える。例えば、「電子申し込みシステムを使うのが時代の流れです」と演説だけしても、まったく顧客の心には刺さらない。「ハンコを押したり、FAXを受け取ったりするためだけに、コロナ禍も満員電車に乗って出社されているんですね。でしたら、この電子申し込みシステムなら……」と、顧客との「会話」からニーズを引き出すことが重要になる。