レストランでお料理をいただくとき、大切な人に手土産や贈り物を渡すとき、訪問先でコートや靴を脱ぐとき……。「育ちがいい人はこういうときどうしているんだろう?」と気になったことはないでしょうか?
一般的なマナーだけでなく、マナー以前のエレガントなふるまい、周りに好感を持たれる所作や心遣いといった「育ちの良さ」を表す習慣を身につけたい、と思っている人は多いと思います。そのコツを読むだけで学べる『「育ちがいい人」だけが知っていること』が、30万部を超えるベストセラーとなり注目を集めています。著者は、VIPアテンダントを経てマナースクールを開校し、婚活、お受験、ビジネスなどに悩む人たちを変化させ成功へと導いてきたマナー講師の諏内えみさんです。
幼少時代、会社員時代、VIPアテンダント時代のエピソードを語っていただいた前回のインタビューに続き、2回目となる今回は、諏内さんが本書で伝えたかったことについて。「育ち」とはそもそもどういうことを指し、なぜ大人になってからでも変えられるのかについて話をお聞きしました。(取材・構成/樺山美夏、撮影/疋田千里)

「育ち」は家柄で決まるものではありません

―― 今まで「育ちの良さ」というのは、良家の子女だけに与えられるものだと思っていました。諏内さんは、誰でも「育ちの良さ」を身につけられるとおっしゃっていますが、それはなぜでしょう?

諏内 私のスクールにいらっしゃる生徒さんも、「育ち」は生まれ育った環境で身につくもので、自分では変えられないと思い込んでいる方がほとんどです。中には40歳を過ぎた方でも、「親にマナーを教わったことがなかった」「家のしつけが緩かった」「裕福でなかった」と幼少時代の育ちを嘆いて、「親を恨みます」とまでおっしゃる方もいます。

しかし、「育ち」は幼い時代の家柄で決まるものではなく、親のせいでもないと私は考えます。「育ちが良い」と感じる所作やふるまいを、「知っているか、いないか」だけの違いなんですね。もっと言うと、育ちが良いと思われる所作やふるまいを、「知ろうとしているか、いないか」だけの差にすぎません。

実際、私の生徒さんは、「育ち」、つまり「ご自身の育て方」を変えて、人生のステージを上げていかれた方ばかりです。正解のないシーンでもオロオロすることなく、品性を感じる所作や洗練されたふるまいができる知識があれば、就活や、婚活などの人生のターニングポイントでチャンスをつかむ可能性が高まります。まさに「育ちの良さ」は一生の武器になるんです。

―― 諏内さんの本には、育ちがいい人の共通点として、「マナー以前のちょっとした所作や言葉遣い。そこに表れるその方の佇まいやオーラ」があるとあります。これはどういう意識から生まれるものでしょうか。

諏内 きっちりマナーと言われていることではなくても、その場にいる人たちに違和感を抱かせず、心地いいふるまいを意識することですね。常に相手や周りにいる人のこと、場所やシチュエーションもトータルで考えて行動する習慣が、育ちの良さにつながるのだと思います。

マナー講師をしていると、「一番正しい○○の仕方を教えてください」と多くの方から正解を求められます。けれども、マナー、エチケット、作法、お行儀、ルールと言われるものに、明確な境界線が存在するわけではないんですね。ただ、ふるまいやマナー以前の気遣いなどによって、「育ちの良さ」が醸し出される場面の方が多いのです。

この微妙で曖昧なことを意識しながら、「いまどうすべきか」と常に自分で考えて行動することが「育ち」を底上げしていくことであり、続けることで、自身もそれまでとは違う扱いを受けるようになってきます。

諏内えみ(すない・えみ)
「マナースクールライビウム」「親子・お受験作法教室ライビウム」代表
皇室や政財界をはじめとするVIPのアテンダント指導などを経て、「ライビウム」を設立。豊富な経験に基づき、本物のふるまいや上質なマナーの指導を行う。「美しい立ち居ふるまい」「会話術」「和・洋のテーブルマナー」など人気講座多数。なかでも、難関幼稚園、名門小学校の第一志望合格率95%の「親子・お受験作法教室」は、お行儀を覚えるだけではなく、「にじみ出る育ちの良さと、品」が身につくと話題に。近年は、マナー以前の気遣いレベルを上げる独自の指導で、多くの男女を成婚に導く「婚活カウンセリング」も人気。一部上場企業トップ陣や政治家へのマスコミ対応トレーニングや、映画・ドラマで女優へのエレガント所作指導も行う。自身もテレビ・ラジオ・雑誌等で、幅広く活躍中