コロナで困窮し
検査バブルで暴利を得る医者
東京都内で診療所を営むO医師の元には、ここ数カ月抗体検査キットを営業するメール、そしてチラシが山のように届くという。O医師は「全てゴミ箱行き」と言うが、コロナ検査という金脈に飛び付いてしまう医者もいる。
「安心を得たい無症状者へのコロナ検査に参入しているのは、テレワークの影響で患者減が著しい都心の診療所ばかり」と検査会社に勤務するA氏は明かす。
A氏の個人的見解では、都心の開業医はステータス意識が高く、生活も派手で日頃から手元資金がない者が少なくない。そこでコロナ禍での損失を早急に取り戻そうと、検査ビジネスに安易に手を出すのではないかという。
抗体検査をやっているという、ある診療所のホームページには「検査結果の説明はいたしません。説明書をお渡ししますので、よくお読みください」とあった。要するに、抗体検査の結果が何を意味するかの説明もしないし、検査結果への責任は一切持たない。ただただ検査キットを提供するだけということである。
「『陰性証明』にはならないことを丁寧に説明してしまうと検査を受けに来る人間はいなくなることが分かっていて、あえてやっていないケースがほとんど」(A氏)。これこそが、抗体検査の誤用が多発した原因だったのだ。
逆に「このような検査を患者に安易に提供する医師のモラルを測るよい指標にはなる」とA氏。抗体検査に加え、自費のPCR検査も行うある診療所では「防護服などの感染対策をした上で行わなければならない検体の梱包などのフローを、丸腰の検査会社の社員にやらせている」と明かす。
この診療所はコロナ検査を始めるに当たり、ビルのワンフロアを借り増すなど相当な投資をしており、コスト削減のため感染対策に十分な経費はかけられない。しかも「院内感染が外に漏れたら困るから、症状が出ても絶対にPCRを受けるなよ」と院長が圧力までかけてくる始末だ。
同診療所での自費のPCR検査費用は4万円。公的保険の保険点数は1800点で医療費1万8000円になる。自費の値段は自由だからといって「4万円はぼったくりに近い」(A氏)。