「軽い神輿」を担ぐことを
ポスト安倍時代にはやめるべき

 そして、安倍首相と周囲の「権力の私的乱用」は、日本政治・社会の深刻な問題を明らかにした。それは現在の政界が、成蹊、成城、学習院、関東学院などの大学を出たお坊ちゃま・お嬢さまの政治家を、一生懸命勉強して東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学などを卒業した叩き上げの政治家や官僚が支えている構図になっていることだ。

ポスト安倍選びで「担ぐ神輿は軽い方がいい」を断ち切るべき理由本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されました。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

 これは、安倍首相の世代だけではない。次世代を担う若手も変わらない。小泉進次郎環境相をリーダー格とした彼ら世襲議員を、官僚や財界、マスメディア、弁護士などを経験して一代で政治家になった議員たちが支える構図も同じだ。

 つまり、政界には「世襲+年功序列=逆学歴社会」があるということだ。そして、恵まれた家柄・血筋の安倍首相が、仲間とやりたい放題やっている。東大を出た優秀な官僚に、公文書の改ざんや隠蔽の責任を押し付けて平気な顔をしている。それを批判されたら、上から目線でばかにしたような態度をとる。

 これでは、優秀な人材は誰もまじめに努力する気がなくなる。軽い神輿を担いでいる人たちにすり寄り、忖度をして、おいしい思いをした方が勝ちだと思ってしまう。そして、そこから距離を置く人をいじめるような態度をとる。日本社会全体に、シラけて殺伐とした空気が漂ってしまっている。

「ポスト安倍」の時代は、「軽い神輿」を担いでみんなでおいしい思いをすることはやめなければならない。そんなものが通用した時代は終わりだ。次の首相は「軽い神輿」ではなく、能力があり、さまざまな修羅場を経験した実力者がなるべきだ。まじめに努力した人が報われる、まっとうな社会をつくらなければならない。そのことを痛感させてくれたことが、安倍首相の「逆説的」な功績なのかもしれない。