小さい虫なら、それが謎の生命体でも素手でつかんで屋外に放り投げられるようになったし、大きめの紙魚(シミ。見た目のおそろしさでは虫界のトップクラスに属するまがまがしき存在。ご存じない方はぜひググっていただきたい)をティッシュで仕留めたことも何度かある。
 
 ゴキブリを相手にする際、以前は殺虫剤か湯沸かしポットからの熱湯などの遠隔攻撃しか選択肢がなかったが、今はある程度までのサイズならティッシュを数枚重ねるかスリッパを手にするかして、たたきつぶせるようになった。あの最悪なる存在に対する恐怖がなくなることはないが、何度かの戦いを経てこちらにも心構えが備わってきており、また殺意の方が育っているので、発見次第、即時処理ムーブに移ることができる。

ナメクジ対策は排水溝を封鎖しても…

 気温が低い季節は虫に悩まされることなく、どちらかというと隙間風だらけの寒いわが家が悩みの種であったが、温かくなると一気に虫の脅威が押し寄せてくる。隙間風だらけのくせに湿気がこもりやすいわが家にとって1年のうちもっとも警戒すべき季節は梅雨で、カビと、増え始める虫との戦いがあった。
 
 風呂場に毎日必ず1匹以上のナメクジが現れるのには閉口した。連中が動きが鈍いので捕まえるのは簡単で、あえて無感情であるよう努めて機械的にトイレに流していたが、これが毎日のルーティンとなってきた頃、ふと、ぬめついた、わけのわからぬ模様があしらわれた体表やアホのように中空に突き出たツノ、アホのごときふっくらとした質感を伴った胴体や緩慢な動作と粘着性など、その全存在がすこぶる不気味に思えてきて、そもそもナメクジが出現しない風呂場作りをしなければならないと思い至った。
 
 そこで排水溝の封鎖や隙間・穴のパテ埋めなどを行い、出現率をかなり抑えることに成功した。しかし、それでも数日に一度はどこからともなくナメクジが現れる。どうにかしたいができることは全てやり尽くし、途方に暮れた。リノベーション済みのわが家において、風呂はステンレス浴槽の昭和のかおりを残す代物であり、年季が入っている分、何か魔力のようなものが宿っているのではあるまいか。そしてタイルの模様とそこにつけられた古い傷などが偶然「魔法陣」となって、異界からナメクジを召喚・出現させているのではあるまいか、というのが、結論である。魔法陣相手では、こちら魔法素人としてはどうしようもないので、諦めるしかないと納得している。

ハチとの対決で得た成長
その戦いは「やるかやられるか」

 今夏の初め、ハチと対峙しなくてはならないことがあって、この体験に「田舎暮らしにおける虫との付き合い」が集約されているように感じたので取り上げたい。