なぜ売れない服を作り過ぎるのか。企業に危機感がない理由は何か。本当に駄目な会社はどこか――。特集『没落貴族 アパレル・百貨店』(全9回)の#2では、レナウンやユニクロなど大手アパレルの元社員たちに、業界が抱える問題点について覆面座談会で暴露してもらった。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
A氏 元レナウン社員 女性・40代・企画職
B氏 元ユニクロ社員 女性・40代・マーケティング職
C氏 ユナイテッドアローズ、ストライプインターナショナル、メガベンチャーなどを転々とする 男性・30代・開発職
D氏 元ストライプインターナショナル社員 女性・30代・バックオフィス職
入社当時から傾いていたから
レナウンに危機感はなかった
――Aさんは新卒からずっとレナウンなんですよね。
A そうです。先日の希望退職募集に応じて退職しました。急だったので、取りあえず自分のスキルが生かせそうな会社に転職しましたが、まだ慣れません。
――Bさんは転職も多いそうですが、ユニクロが長いのですね。入社までの経緯は。
B 新卒のときはサンエー・インターナショナル(現TSIホールディングス)に入りました。その後セレクトショップに移り、2000年代後半にユニクロに入社しました。
就職する前はバイヤーになれたらという夢もあったのですが、プロパーからバイヤーになるのはめちゃくちゃ狭き門であるということが分かり、マーケティングの方のキャリアを伸ばそうとユニクロに転職したんです。現在は別の新興アパレルで働いています。
――Cさんはアパレル業界では珍しい開発職なんですね。
C アパレルのキャリアのスタートはユナイテッドアローズ(UA)でした。ECをやりたかったのですが、新卒はみんな販売からでしたね。
D 私は上場企業にいましたが、裁量の小ささに悩み、思い切って転職した先がクロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)でした。
――レナウンもようやくブランドの事業譲渡が決まりましたね。Aさんはいつ頃から会社に危機感を抱いていましたか。
A 危機感かあ……。入社した頃からずっと業績が良くなかったから、それが“通常”で。わりと年功序列の会社で、給料もスタッフ部門は営業と違って売り上げとも関係ないし、下がりも上がりもしないし。
――中国・山東如意科技集団がスポンサーに付いたときは、さすがにこれはまずいと思ったんじゃないですか。
A 山東如意の件は、社員は日経新聞で知りました(笑)。でも、あのときは北畑(稔)社長(当時)も自ら各事業所を回って説明会を開いたんです。それを見て、これで大丈夫なんだなと納得したんですよ。
でも、そこからも予算は達成できないし、前年と売り上げをトントンにするのも難しいという状況が続いて、給与が一律10%カットになったときに、「あれ?」と。