コロナ禍でECの売り上げを大幅に伸ばす企業もあれば、店舗休業のカバーもできずに泣く企業もある。その差は、コロナ禍以前からいかにDXに投資していたかで決まったといっても過言ではない。特集『没落貴族 アパレル・百貨店』(全9回)の#6では、ウェブベンチャーや商社など異業種も巻き込むアパレルDXの最前線を追った。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
月9000万円以上売り上げる店員も!
店員のスナップ写真が売り上げに
「従来のECサイトは、商品写真をいかにカッコよく撮るかに注力していました。でも例えばバッグの写真だけではなかなか買わないでしょう?着用者の服装や身長とバッグの組み合わせが分かるようなスナップ写真があることで、商品は売れる。商品写真だけのときと比べ、購入確率が1.5倍に上がるんです」
販売員のデジタル接客・業務アプリ「スタッフスタート」を運営するバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃CEO(最高経営責任者)は、従来のECサイトの問題点をそう指摘する。
スタッフスタートを導入したECサイトでは、商品画面の中に全国の販売員のスナップ写真を取り込み、コーディネートを表示できる。写真には販売員の店舗情報に加えて身長や年齢も表示することが可能なので、自分のスタイルとよく似ている販売員を探すこともできる。
一方販売員側は、自分がどれだけ商品を売ったかが一目で分かる「成績表」を閲覧可能だ。スタッフスタートには独自の売り上げ管理システムがあり、これを導入した各社のアプリに組み込むことで、どのスナップ写真を経由してどれだけの売り上げが発生したのかが分かる。これにより、販売金額が通知表のように販売員一人一人に表示されるのだ。
過去最高の売り上げをたたき出した販売員は、1カ月で9082万円。リアル店舗の場合、小さな店なら1カ月の売り上げ目標が100万円というところもある。デジタル接客で稼ぐ販売員の集客力は桁違いだ。