前期・今期の2年間で1400店舗の退店を行うオンワードホールディングス。その一方で、7月には反発して退店したはずのZOZOとの協業を発表した。特集『没落貴族 アパレル・百貨店』(全9回)の#7では、百貨店とアパレルの蜜月関係を代表してきたオンワードがこれから向かう道を、保元道宣社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 相馬留美)
コロナの影響で変えるのは商品内容
資金繰りの懸念はない
――新型コロナウイルス感染拡大で、退店ペースが早まっているように感じます。
新型コロナウイルスの感染拡大よりも前のここ数年、ビジネスモデルの構造を変えようと取り組んできました。成長戦略としての重点領域はデジタル、カスタマイズ、ライフスタイルの三つです。
ただ、緊急事態宣言が出ていた約2カ月間は店の営業を休みました。その結果、デジタル領域の戦略が加速した面はあります。
コロナの影響で何かを変えたということはありませんが、今後変えるとしたら商品の内容です。ライフスタイルがテレワーク中心になり、在宅時間が増えれば、オフィスに着ていく前提のファッションでもスタイルが変わります。商品の構成の変化や、特定のシーンを想定したような新ブランドの開発もあるかもしれません。
――今年はメンズブランド「23区HOMME」を撤退しました。
「23区」というブランドの再定義をかなり前から構想していたんです。その中で、「23区HOMME」については、ウィメンズの「23区」と「23区HOMME」が別にあるよりも、ユニセックスなブランドとして価値を磨いていこうとの思いが強くなったということです。
――財務面についてお聞きします。オンワードはコミットメントラインと当座貸越枠があり、当面問題ないかと思いますが、危機感は特にないですか。
キャッシュフローのマネジメントはそれほど心配していません。コミットメントライン枠の拡大によって今累計500億円ありますが、緊急事態宣言が継続しているときに銀行団の方からご連絡があり、話をして決めました。上期を終えようとしていますが、今の営業状況から考えれば、資金繰りには全く懸念はないと考えています。