――ボーナスは?

A それは出ていたんです(笑)。労働組合があったから。でも、さすがに満額回答は最近はなかったかな。

――今年に入って、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めてから社内はどうでしたか。

A 当初は、春分の日に販売のピークを持ってくるために商品が間に合うかどうかを心配していました。でも、2月中旬以降は外出自粛で客が来なくなって、納品はどうでもよくなった(笑)。

 4月に百貨店が閉まると分かって、売り上げが1掛け、2掛けとなり、仕入れをするお金がなくなってしまいました。工場に発注キャンセルを入れて、謝罪に謝罪を重ね……。それでも手詰まりになってしまいましたが。

ユニクロとストライプ
オーナー企業の社員たちの日常とは

――他のアパレルとユニクロの違いはどんなところで感じましたか。

B とにかく全部社長(柳井正会長兼社長)の承認が要るんです。毎週作っているチラシ一つにも社長決裁が要る。私がいた頃は九段下にオフィスがあって、社長室の隣に役員会議室があった。そこで社長と役員がずらりとスタンバイしていて、担当者がプレゼンするんです。

――役員まで並んでいるのですね。全員コメントするんですか。

B いや、ほぼ社長しか発言しません(笑)。そのプレゼンで、社長が「このチラシは嫌だね」と言ったら一から作り直し。販売計画が決まっていようが、MD(商品化計画)が決まっていようが関係なし。どこがどう嫌なのかも具体的には教えてもらえません。

 かつてここでプレゼンしたテレビCMで、社長が「この全部が嫌だ」と言ったことから一晩で作り直しになったものがあったそうです。芸能人を起用したCMでしたが、お蔵入りでした。

――柳井さんの意見が「絶対」なのですね。

B はい。でも、やっぱり社長はすごいなと思うことはたくさんあるんです。このプレゼンで社長が「こんなもん売れないですよ」と言ったものを、別の役員がその場で説得する形で販売を始めた商品って、本当に売れない。

 社長は別におしゃれでもないんだけど、商売人の勘というのか、「総合的に売れるもの」が分かるんです。「4色では売れないけど20色なら売れる」とか、そういう指示もよく当たります。