内部留保
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「ため込み過ぎ」批判から
経済を支える「救世主」に

 コロナ前には、企業が内部留保をため込み過ぎだという強い批判があった。株主がそういう問題意識を持つのはよくあることだが、内部留保をもっと投資や賃金に使うべきだ、という声は政府や与野党の政治家からも盛んに聞かれた。

“アベノミクス景気”の長さは戦後最長にほぼ並んだが、経済成長率は極めて緩やかで、企業収益から経済全体への波及(トリクルダウン)が限定的だったことで、内部留保はその原因かのように半ばスケープゴートにされた感がある。

 ところが、コロナ危機でその評価は一変した。

 日本銀行が7月に公表した展望レポートでも、企業が財務の健全化を進めてきたことや、手元流動性を潤沢に確保していたことが、コロナ禍にあっても設備投資計画が底堅い一因だと分析している。

 少し前まで、内部留保が経済成長を阻んでいるとされていたのだが、今や内部留保の厚さこそが経済下支えの救世主とされている。

 だがここは極端から極端へと振れる評価に惑わされずに、日本企業の保守的な財務戦略の意味を冷静に考えておいたほうがよい。