賢人100人に聞く#30
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かつて米国家安全保障会議(NSC)アジア部長などを歴任した「知日派」の論客として知られ、現在は米一流シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で上級副所長兼日本部長を務めるマイケル・グリーン氏。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#30では、安倍晋三前首相の外交姿勢を高く評価する同氏に、菅義偉新政権に期待することや、米中争いの行方などを聞いた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

米国人の日本への見方が改善
安倍前首相の外交・安保も影響か

――安倍晋三前首相の外交・安全保障政策をどう評価し、菅義偉新首相にはどのようなことを期待していますか。

 安倍氏が2度目に首相となった2012年、米シカゴ外交評議会が行った全米調査で、米国がどの国との協力関係を優先すべきか聞くと、米国人の約半分は中国、3割ほどが日本という回答でした。当時は習近平国家主席が「新型大国関係」という考え方を掲げ、中国との協力論が強い局面でした。

 ただ19年に同じ質問をすると、6割以上の米国人が日本との協力関係を望むとの回答となりました。たとえ中国との関係にダメージを与えたとしても日本を優先すべきだという意見が多数派だったのです。この背景には米中のさまざまな問題が表面化したこともありますが、安倍氏の外交や日米安保の強化も重要な要因だったと考えています。

 安倍氏は民主主義の価値を訴える「自由と開かれたインド・太平洋」構想を掲げました。そしてG7(先進7カ国)でトランプ米大統領の欠席時や米国が保護主義的な政策を主張したときは、まるで今までの米大統領のような立場で、民主主義国家がつくり上げた国際システムを守りましょう、と訴えるリーダーとなっていたわけです。