賢人100人に聞く!日本の未来#55

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、児童虐待の相談件数が全国で急増している。なぜ虐待が増えるのか、その対策はあるのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の最終回となる#55では、児童虐待対策の第一人者、奥山眞紀子医師に聞いた。虐待だけでなく、過剰なコロナ対策が子どもの発育に悪影響を与える可能性もあるという。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

親の“孤立化”が
児童虐待を招く

――厚生労働省の緊急調査などによれば、新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれ、児童虐待の件数が急増しているといわれています。

 まず、月単位で見ると、4月は前年同月比でそれほど増えておらず、急増していると感じるのは6月以降です。実は、4月は伸び率で見れば、例年よりも下がっているぐらいなのですが、これは4~5月は学校や保育園が休校・休園だったことが理由だとみています。

 危険度の高い、つまり子どもの生死に関わるような児童虐待は特に、学校や保育園からの通告で発覚するケースが多い。それが一斉に休校・休園になったことで、高リスクの虐待が外部から見えなくなってしまったのではないかと考えています。

――コロナによって虐待が増加する理由をどうみていますか。