賢人100人に聞く!日本の未来#29

新型コロナウイルス感染拡大の影響でビジネスを取り巻く環境が急速に変化する今、中長期的な成長を見据えて考えたいのが、「ブランドづくり」である。アフターコロナのブランド戦略はどうあるべきなのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#29では、創業300年を超える生活雑貨メーカーの13代目社長を務め、数多くの工芸品メーカーのコンサルティング、ブランディング支援を手掛けてきた、中川政七商店の中川政七会長に、これからのブランディングについて話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

アフターコロナのブランド
生き残りの鍵は何か

――新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本経済は大きな打撃を受けています。ブランディングの観点で、これから企業が生き残っていくための鍵はどんなところにあると考えていますか。

 コロナ以前からあった「変化の兆し」みたいなものが、このコロナ禍によってより速度を増していると感じます。

 ブランディングの視点で言うと、「何に対してブランドを感じるか」って時代とともに変わってきたと思うんですね。戦後間もない頃は、物のクオリティーが安定しなかったので、「安心」みたいなものにブランドを感じた。その後、物のクオリティーがある程度担保されるようになると、ラグジュアリーブランドなどへの「憧れの時代」がやって来た。そして、ここ最近は「ライフスタイルの時代」といわれていて、ライフスタイルに対する共感が重視されてきた。

 ただ、実はそこから時代は動きつつあります。