米中対立は今や経済・関税問題、テクノロジーにとどまらず、「価値観」の次元に到達した――。アジア政治外交史が専門で、中国の政治・外交に詳しい東京大学大学院総合文化研究科の川島真教授はこのように分析する。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#49では、中国の内政を巡る現状や、台湾情勢について同氏に解説してもらった。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
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経済復興と共産党の統治強化に重点
現状は国内問題に注力せざるを得ない
足元の中国の国内状況を考えると、共産党政権の優先順位は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制した上で、経済復興とともに共産党の統治強化を行うことに置かれています。国際社会への働き掛けはその後の話で、対外政策を国内の事情より優先することはないと考えていい。
というのも、コロナ禍からの経済復興だけでなく、米中対立による対欧米の貿易激減や、長江流域の自然災害の問題もあって、相当国内問題に注力しないといけない状態にあるからです。