まず、自分が元気になるような歌詞を世の中へ

 ウィズコロナの現在、東野さんは今月(10月)7日にニューシングル「明日のカタチ」をリリースし、東名阪でのコンサート(ライブツアー)を開催するなど、対外的な音楽活動を積極的に展開している。ラーメン店の営業とともに、楽曲「明日のカタチ」はどのように生まれたのか?

 「去年(2019年)の秋頃、汁なし担々麺を作っていたときにサビのメロディーがふと浮かんだんです。オーダーがいろいろ入っていましたが、餃子の火入れの時間にバックヤードに行き、ボイスメモリーにメロディーを残しました。『明日のカタチ』という、あらかじめ考えていた(歌詞の)フレーズにぴったりハマるメロディーでした。その後、コロナの世の中になって、僕自身も疲弊していたのですが、『後ろ向きになっている場合じゃない。まず、自分が元気になる歌詞を書こう』と。そして、社会全体が大変なのだから、多くの人に伝えたい言葉を加えて完成させました。『僕らはもろいけど、負けたままで終わったことはない』というメッセージを詞中の言葉になかなか置き換えられませんでしたが、それは絶対に言いたかったこと。コロナに限らず、人間って、努力と知恵で多くの困難を乗り越えるじゃないですか。打ちひしがれるけど、何とか乗り越え、『あのときはつらかったね』って話をできるのが人間の良いところで…それをどうしても歌詞にしたかった」

 デビュー時から“東野純直の音楽”は、ポップでキャッチーな旋律が印象的と言われる。メロディーメーカーとしての天賦の才は枯れることなく、歌詞を含めた楽曲の技巧性もキャリアとともに高まっているが、ラーメン店での接客同様、常に「顧客ありき」の姿勢を崩さない。それは、“ミュージシャン東野純直”の存在を長く支え続けるファンの反応からも見て取れる。

 「今回の曲についても温かいコメントをたくさんいただいています。『カラカラに乾いていたスポンジに水がサーッと入っていくような感覚で聴けました』とか『心にしみ込む化粧水みたいな曲』とか(笑)…いまの時代、世の中にあふれている楽曲は、一回では覚えられないような、リズムメインのやや難解な曲が多いですよね。そうした難しい曲も含めて、残り続けるものは、メロディーがきれいで豊かで、みんなが口ずさめるものなんです。今回の『明日のカタチ』は、僕自身の音楽的なエゴを極力取り払い、かなり“朴訥(ぼくとつ)”にしました。みんなが口ずさめるように」

東野純直さんが語る、コロナ禍でのラーメン店と「明日のカタチ」

支那ソバ 玉龍
東京都昭島市緑町4-1-27
(JR 拝島駅南口より左方向へ徒歩10分)

営業時間
昼 11:30~15:00
夜 18:00~21:00(ラストオーダー 20:30)
※スープがなくなり次第終了

定休日
毎週火曜日・第1・3月曜日