スガノミクスの鉄則 星野佳路・星野リゾート代表インタビュー
Photo by Kazutoshi Sumitomo

大打撃の観光業界で、数少ない「勝ち組」の星野リゾート。日本の観光業が、アフターコロナを生き残る上で何が必要になるのか。星野佳路代表が菅義偉政権に緊急提言する。特集『スガノミクスの鉄則』の#7では、星野代表に観光業の生存戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

この秋の稼働率は前年並みを見込む
マイクロツーリズムが功を奏した

――5月には、星野リゾートの倒産確率は30%と情報発信することで、もっと厳しいと感じていた社員には安心感を持ってもらうと同時に、健全な危機感も持ってもらうとおっしゃっていました(特集『ポストコロナ「勝ち組」の条件』の#2『星野リゾート代表が「倒産確率30%」と社内に発信する理由』を参照)。現状の倒産確率はどの程度ですか。

 7月末時点で28.7%、8月には18.3%まで下がりました。

 9月、10月はGo Toトラベルキャンペーンの効果も見込んでいますので、さらに落ちてくるでしょう。18.3%とか言うと、「まだそんなに高いのか」と言う人もいます。

 ただ、(メジャーリーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの)大谷翔平選手の打率と同じぐらいで、今年はちょっと……(不調気味)ですが、それでも将来性はあるよねと話しています。

――足元の状況はどこまで回復しているのですか。

(緊急事態宣言中の)4月や5月の稼働率は前年同月比で90%マイナスでしたが、8月は同10~20%マイナスぐらいまで戻ってきました。この秋はGo Toトラベルキャンペーンの効果が乗ってきますので、対前年比でほぼ同水準になるんじゃないかと期待しています。

――前年並みまで戻ってきた要因は。

 小さなグループや個人客で、1~2時間圏内から来てくださいという「マイクロツーリズム」に本気で取り組んだことが大きい。

 例えば、京都の施設(高級旅館業態「星のや京都」)が良い例でしょう。昨年の稼働率は90%程度という水準で、インバウンド比率は7月47.9%、8月47.3%と高く、半分をインバウンドに依存していました。

 今年8月は前年並みの稼働率には届きませんでした(編集部注:2019年8月95.2%、20年8月91.8%)が、インバウンドの分をマイクロツーリズム市場で補いました。実際に、インバウンド比率は19年8月が47.3%、20年8月は0%であるのに対して、マイクロツーリズムの比率は19年8月が9.4%、20年8月は39.9%となっています。

 静岡県の舘山寺温泉の施設(温泉業態「界 遠州」)では、元々インバウンドが少なかったということもあり、稼働率は19年8月99.7%、20年8月99.5%と前年並みでした。

――星野リゾートはインバウンドだけに依存しないポートフォリオ経営を実践しています。しかし、新政権は「2030年にインバウンド6000万人」という数値目標を据え置いたままです。本当に達成できるのでしょうか。