嫌いな向きには気の毒だが、特別買収目的会社(SPAC)は定着する可能性がある。現在最も話題性のある上場手段に見えるSPACには、多くの重荷も伴う。基本的な前提は、スポンサーが、所定の期間内に合併または買収の対象企業を特定することを当て込んで、新規株式公開(IPO)で資金を調達するということだ。SPACの業績を追跡するサブスクリプション制のオンラインデータベース、SPACインサイダーによると、10月16日の取引時間終了時点で、SPACのIPO件数は年初来143件に達している。2016年は年間13件だった。基本的に内容の事前把握なしの投資を伴う資産クラスがいきなり台頭してきたことについて、多くの人は、SPAC自体のバリュープロポジション(提案価値)というよりも、現在のバブル的な投資環境を物語っていると考えている。金利がゼロに近づき、今後数年間はその状態が続くと予想される中で、株式市場では投資家がますます大物狙いになっている。また、保有期間も注目するスパンも短くなってきており、SPACは即時に満足を得られる究極の形だ。投資家は、設立後間もない会社がブレークする年を迎えるのを待たず、例えばスポーツ賭博や自動化されたハウスフリッピング(差益狙いの住宅転売)といった新たなトレンドが市場で話題になった瞬間にこの流れに乗ることができる。
買収目的SPAC 「はじけないバブル」となるか
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